日本人離れした肉体美も、中井りんの魅力だ。12月29日のRIZINで、強豪・村田夏南子と対戦する

アジア人女性として初めて米UFCに参戦するなど、女子格闘技界を牽引(けんいん)してきた現パンクラス王者の中井りんが12月29日、RIZIN初参戦を果たす。

相手はレスリング時代に吉田沙保里をあと一歩まで追い詰め、2016年4月のMMA(総合格闘技)デビュー以降4連勝中の強豪、村田夏南子(かなこ)だ。

そこで、愛媛県今治市にある「修斗道場四国」で練習する中井を直撃! インタビュー前編では今夏、クワガタにハマったというエピソードまで語ったが、後編では12月29日の試合への思い、そして来年以降の野望(?)を明かした!

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―先月のブログに「村田選手はアメリカで練習しているようですね。四国の今治市で独りで練習している私と対戦ですね」と、うらめしい感じで書いてましたけど…結構、マイナス思考?

中井 アハハハハ! 最近は開き直って言いたいことを言うようにしているんです。私は世間知らずなものですから、社会の厳しさにボロボロにされまして。黙っていてもわかってもらえないので、マイナスなことも言うようにしています。

―練習相手に困るのに、今治に留まっているのは、地域密着型で頑張っていこうと?

中井 違います。もう何年も前からアメリカや東京に拠点を移したいと言い続けているのですが、資金がないからできないんです。

―中井さんほどの実力があっても、経済的に厳しい?

中井 ファイトマネーだけでは厳しいです。あと、私はこの道場でインストラクターの仕事もありますから、それを捨てていくのも難しい。もっと強くなるためにはどこかで決断しないといけないのかもしれないですけど…。

―そういうジレンマもあるんですね。このインタビューを通して、言いたいことを言ったほうがいいんじゃないですか?

中井 はい。私も、RIZINさまに大事に育てていただいて、アメリカでの練習費用を出していただきたいです(笑)。

私のほうが勝って当然の立場

2014年からの米UFC参戦を経て、今年、パンクラスに復帰。現在、2連続TKO勝利中

―アメリカだったら、どこで練習したいですか?

中井 「ジャクソンズMMA」で練習したいです。

―多くのUFC王者を輩出した超名門ジムですね。

中井 強い女性ファイターもたくさんいます。(元UFC王者の)ホーリー・ホルム、私が勝ったタラ・ラローサ、ミシェル・ウォーターソン…オーフレイムもいます。

―アリスター・オーフレイムはヘビー級の男性ファイターですよ(笑)。

中井 アハハハハ! 殺されますね(笑)。

―12月29日の相手、村田選手とは同郷で、同じ柔道場で練習していたんですよね。

中井 村田選手は7歳下なので一緒に練習することはなかったのですが、彼女のお姉さんと練習したり、お母さんも一緒に遊んだりしていました。

―そんな村田選手がレスリングからMMAに転向すると聞いた時は?

中井 うれしく思いました。MMAで勝っていくのを見て応援していたんですけど、まさか自分が対戦することになるとは…。

―村田選手に負けられない理由を挙げるとしたら?

中井 彼女はまだ4戦ですが、私は21戦、MMAの試合をしてきました。私のほうが勝って当然の立場だと思うので、プレッシャーはありますけど、全力を尽くします。

―RIZINには初参戦ですけど、すでに追われる立場ですよね。

中井 長年、日本の女子MMAを引っ張ってきたという自負はあります。今は試合に集中していますが、RIZINのおかげで女子格闘技が盛り上がってきたので、私も協力できることはしていきたいと思います。

―村田戦に勝ったら、来年はどうしたいですか?

中井 RIZINさまの援助を受けて、海外修行に出してほしいです(笑)。

●中井りん1986年生まれ、愛媛県松山市出身。柔道をバックボーンに2006年、MMAデビュー。初代バンタム級クィーン・オブ・パンクラシスト。初代VALKYRIE無差別級王者。21戦18勝2敗1分け。ブログ『中井りんの日記』

●『Cygames presents RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント』12月29日、31日/さいたまスーパーアリーナ

(取材・文/中込勇気 撮影/佐藤佑一 試合写真/長尾 迪)