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上野発モスクワ行き、シベリア鉄道の日本直通化計画は実現するのか

[2017年01月02日]

■日本直通化への課題は山積み

シベリア鉄道の東の発着駅であるウラジオストク。今すぐ乗るならこの駅から

シベリア鉄道の東の発着駅であるウラジオストク。今すぐ乗るならこの駅から

だが当然、実現へのハードルは多い。まず、日本とロシアは線路の幅が違う! 日本は狭軌といわれる1067mm。一方ロシアは1520mmの広軌で、およそ1.5倍だ。

ちなみに1960年より北京発モスクワ行きの直通列車を走らせている中国も、線路幅は異なるが、こちらはなんと、ロシアと同じ線路幅であるモンゴルとの国境で、客車をつり上げて台車をまるまる交換するという荒業で対処している。

この点、さすがに日本はもっとスマートで、現在、新幹線と在来線の直通運転を目指して、台車の幅を変更できる「フリーゲージトレイン」の試験運転を行なっていて、同様のアイデアは、スペインではすでに実用化されている。線路幅の問題は近々解消されるだろう。ただ、ロシアの車両はサイズが大きいため、そのままでは日本で走れず、日本の駅やトンネルに合わせた、コンパクトな車両が必要となるけれども…。

ちなみに樺太の鉄道は前述のように、かつて日本が建設したものなので、日本と線路幅は同じだった。だが現在は、ロシア国内と同じ幅に変更する工事が進んでいるところで、シベリアと樺太を結ぶ構想に関してはかなりマジっぽいかも。

その予算だが、2013年にロシアの極東発展省は、樺太と大陸を結ぶ鉄道橋構想を1兆円と試算。かなりの額だが、夢ではない。

とはいえ、日本側の課題も多い。まずJR北海道の経営難だ。寂しい話だが、樺太とつながるべき宗谷本線は、乗客が減少中。先月も、稚内~名寄(なよろ)間は自治体などの支援なしに維持することが困難と、JR北海道から発表があったところだ。加えて現在は貨物列車が走っておらず、再び走らせるにはその重量に耐えられるよう路盤の再整備が必要。

さらに、青函トンネルの混雑問題もある。今は一日30本の北海道新幹線と51本の貨物列車が走行しているが、新幹線はトンネル内で貨物列車とすれ違う際にスピードを減速せざるをえない状況である。そんなところにシベリア鉄道が加われる余地はあるのか? しかし第2青函トンネルを造るには、約5800億円かかるという(国交省の試算)。

では、こうしたもろもろの問題をクリアして日本とシベリアの鉄道がつながった場合、物流面でどれほどのニーズがあるか? 再び辻氏に聞いた。

「例えば石炭は、現在、ウラジオストクなどの港から日本各地の港へ運ばれているのですが、直通の鉄道ができても、船便のほうがコストが低いです」

では、日本からロシアへの貨物は?

「そのままロシアの先のヨーロッパへ運ぶことも可能ですが、それも船便のほうがはるかに安い。だから日本とロシアが線路がつながったとしても、利用は少ないでしょうね」

「シベリア鉄道イコールほぼ貨物列車」という現状の延長で考えると、なかなか夢を見るのは難しそうだ。


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