今年上半期は「小池劇場」にどんな展開が待っているのか?

就任以来の“劇場型政治”で豊洲市場移転、五輪予算などの問題に切り込んできた小池百合子都知事。昨年末は五輪の競技施設見直しを巡る応酬でややトーンダウンした印象もあった「小池劇場」だが、今年上半期はどんな展開が待っているのか?

最初の見せ場となるのは2月の千代田区長選(1月29日告示、2月5日投開票)。そう指摘するのはジャーナリストの川村晃司氏だ。

「区長選は小池知事が支援する石川雅己現区長と、“都議会のドン”こと内田茂氏の推す都庁OBの佐々木信夫中央大学教授による一騎打ちとなるはずでした。ところが、昨年12月14日に議員報酬カット案の対応を巡って不満を高めていた公明党が『信義は完全に崩れた』と、蜜月だった都議会自民に決別を突きつけたんです」

これでシナリオが完全に狂ってしまった。

「公明は政策が近いとして、小池知事との連携を表明した。すると、公明の支援なしには当選はおぼつかないと、佐々木教授が12月17日、出馬を辞退したんです。千代田区は内田氏の選挙区。このまま不戦敗となれば、さすがのドンも影響力が低下しかねないと、内田氏周辺は大慌てです」

都政に詳しい政治評論家の鈴木哲夫氏もこう言う。

「佐々木氏に代わる候補を探さないといけないのですが、勝ち目が薄いため、出馬要請に応じる人がいないと、都議会自民は困っています。区長選は小池知事と内田氏の代理戦争の様相を帯びていた。その区長選に候補を担げないまま不戦敗となれば、7月の都議選にも差し支える。内田氏はピンチです。逆に小池知事はここぞとばかり、攻勢に出てくるはずです」

また、2月の区長選に小池知事の力コブが入るのは別の理由もあるのだという。都庁・都市整備局スタッフがこうささやく。

「この1月にも豊洲新市場の地下水モニタリング調査の結果が出ます。本来なら、この結果をもとに豊洲移転の可否を決着したいところでしょうが、知事はその判断を留保することになるのでは」

豊洲問題の決着はさらに遅れる!?

それはなぜか?

「現在、築地市場には全部で17の業者団体があり、移転反対、賛成で割れている。どっちに決めても市場関係者からの批判は避けられない。また、もし豊洲移転の白紙撤回を拙速に決めでもしたら、新市場利権を握る都議会自民から袋叩きとなり、2月から始まる都議会がデフォルト状態になりかねない。それは得策ではないと、小池知事は再アセスメント(環境影響評価)による判断延期の決断を下すのではないかと予想されています」

アセスメントをやり直すとなれば、約15ヵ月の時間が必要となる。豊洲問題の決着はさらに遅れる。

「15ヵ月の間に盛り土問題の真相や、移転にまつわる利権の闇の解明が進められるというメリットはあるものの、業者への補償費用がかさむなどのデメリットも大きい。小池劇場としては見せ場に乏しいんです。そこで小池知事としては2月の千代田区長選でドン内田退治のドラマを演出し、大きくポイントを稼ぎたいのでしょう」

そして、その後も都議会定例会での予算をめぐるバトル、夏の都議選に向けた動きなど話題には事欠かなそうだ。果たして、17年上半期も「小池劇場」は盛り上がるのか? さらに、長らく噂される小池新党の立ち上げは?

都政ウオッチャーや知事周辺の人々が語る「2017年上半期・小池劇場カレンダー」は、1月5日発売の『週刊プレイボーイ』3・4合併号に掲載。是非ご覧いただきたい。

■週刊プレイボーイ3・4合併号「2017年上半期『小池劇場カレンダー』」より