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日本人の「長時間労働」改善を阻む壁とは…労働者の権利に手厚いフランスとの「文化の違い」

[2017年01月19日]

「勤務時間内に終わらなかった仕事を家に持って帰れば、それは『サービス残業』と変わらない」と指摘するメスメール氏

政府が「働き方改革実現会議」を設置するなど、本格的な議論が始まった日本人の「長時間労働」問題。

歴史的に労働者の権利保護に手厚いフランス出身の記者は、この問題をどう見ているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第62回は、「ル・モンド」紙東京特派員、フィリップ・メスメール氏に話を聞いた――。

***

─高橋まつりさんの過労自殺をきっかけに表面化した大手広告代理店、電通の「長時間労働問題」は昨年末、電通が労働基準法違反の疑いで書類送検され、石井直(ただし)社長の引責辞任にまで発展しました。折りしも日本では今、政府による「働き方改革」が議論されています。

メスメール 安倍政権は「一億総活躍社会」実現の一環として、昨年秋に「働き方改革実現会議」という私的諮問会議を発足させ、新たに加藤勝信氏を「働き方改革担当大臣」に任命する等、この問題に関して積極的に取り組んでいます。そこで大きな課題となっているのが、日本で一般的な残業の習慣を改め、オフィスを早く出て帰宅できるようにしようという、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」の改善です。

もちろん、改善は良いことですが、問題は肝心の「仕事の総量」が変わらず、新たな雇用も増やさないのならば、これまでと同じ仕事量をどうやって「残業をせず」にこなせるのかということでしょう。企業側には残業が減り、「残業手当」の人件費がマイナスになる分、コスト削減のメリットがありますが、労働者の側からすれば結局、正規の勤務時間内に終わらなかった仕事を家に持って帰れば、それは「サービス残業」と変わらないわけですからね。

─確かに、仕事の量が同じならば「午後10時以降の残業禁止」と言われても、残った仕事を家に持ち帰るしかない。あるいは、電通のような大手企業なら、その分の負担を立場の弱い下請けの中小企業に押し付けるという状況だってあり得ます。やはり、表面的な改革では日本人の「働き方」の実態はあまり変わらないのでしょうか?

メスメール 私は「変わらない」とは思いません。ただ、一気に変わることはないでしょうね。なぜなら、日本人の「働き方」に対する意識には世代によって大きな違いがあるからです。若い労働者の話を聞くと、彼らの多くは「仕事以外の生活」を大切に考えていて、自分たちの親のように会社や仕事に人生を捧げたいとは思っていない。

一方、例えば今、電通のような企業で重役や管理職としてリードしている古い世代の人たちは若い時から長時間労働も「当然のこと」と捉(とら)え、がむしゃらに働いてきた結果、今の地位や成功を手にしてきたと考えているので、そうした働き方に違和感がないし、むしろこれまでのやり方を続けたいと思っている部分がある。

こうした世代間のジェネレーションギャップを乗り越えるにはそれなりの時間が必要ですし、それが日本人の働き方を変えていく上で大きな課題ではないかと感じます。


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