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日本人の「長時間労働」改善を阻む壁とは…労働者の権利に手厚いフランスとの「文化の違い」

[2017年01月19日]

─昨年はフランスでも労働時間や休日勤務に関する規制緩和を盛り込んだ「労働基本法」の改正が大きな議論を呼び、改正に反対する若者たちのデモなどが起きました。働き方に関する変化の波に直面しているのは日本だけではないですね。

メスメール これはある意味、世界の先進国すべてが直面している問題だと思います。欧米では既に80年代から90年代にかけて、アメリカのレーガン大統領やイギリスのサッチャー首相らの政策によって、労働市場の規制緩和や流動化が進められました。60年代以降、長らく労働者の権利が強く守られてきたフランスでも、今ではグローバル化の波に直面する中で従来の仕組みが機能しなくなりつつある。

それは労働組合のあり方なども例外ではなくて、日本の「連合」も、かつては一定の役割を果たしていたのかもしれませんが、今や完全に時代遅れになっている。フランスの労組も同様です。

昨年の労働基本法改正に関する議論の中で、フランスの若者たちが「ニュイ・ドゥブー」という運動を通じて「これからの社会のあり方」を議論し始めたのも、多くの矛盾が表面化してきた「今のシステム」に不満を持ち、それを「変えたい」という気持ちの表れなのだと思います。

私は先日、韓国に取材に行ったのですが、今、韓国で起きていることも、朴大統領の「個人的な友人」にまつわるスキャンダルだけではなく、今の韓国社会に対する若者たちの強い怒りや憤りが大きな原動力になっているのだと感じました。

─ただ、日本では若者も含めて、社会や政治に対する自分たちの不満や不安を大声で訴えることがなかなかできないし、そうした問題についてみんなで議論するという習慣もあまり根付いていない気がします。

メスメール そうですね。いきなり「革命だ」なんて言っても現実味がないし、単純に今すぐストリートに出てデモをすればいいということでもない。私はまず、ひとりで悩まずに誰かにその想いを「話すこと」から始めるのが大切だと思います。

電通の問題も若い女性社員が自殺したことで表面化したわけですが、彼女にはその苦しさや悩みを相談できる人がいなかったし、労組も役に立たなかった。そのため彼女は「孤独」に陥り、自殺へと追い込まれてしまった。そうした不幸を繰り返さないためにも、まずは自分の苦しさや、疑問や不安などを「話せる誰か」と共有し、繋がること。あるいは、そうした人の声を「聞いてあげられる」環境を作ることが必要です。

そうやって身近な人たちと話すことから、自分たちが現代社会のシステムからどう扱われていて、何が本当の問題なのか、そして何を変えるべきなのかということが客観的に見えてくる。それが社会を変える第一歩になるのだと思います。

●フィリップ・メスメール
1972年生まれ、フランス・パリ出身。2002年に来日し、夕刊紙「ル・モンド」や雑誌「レクスプレス」の東京特派員として活動している

(取材・文/川喜田 研 撮影/長尾 迪)


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