「ポドルスキはドイツ代表の常連だけど、なぜかクラブでは目立った活躍ができない選手でした」(スポーツ紙記者) ※写真はイメージです

2016年のJ1第2ステージで堂々の2位。今季は優勝を狙うヴィッセル神戸がルーカス・ポドルスキ(トルコ・ガラタサライ所属)の獲得に動いている。W杯3大会連続出場を果たした元ドイツ代表のFWだ。1月31日までの冬の移籍市場での獲得はならなかったが、トルコリーグのシーズン終了後に向けて、現在も水面下で交渉が続いているようだ。

提示しているとされた報酬は、なんとJリーグ史上最高額の年俸約9億6千万円! 14年にセレッソ大阪入りした元ウルグアイ代表FW・フォルランは年俸6億円だったことを考えると巨額と言うほかない。この“大盤振る舞い”の背景を、スポーツ紙のサッカー担当記者が説明する。

「Jリーグは先頃、動画配信大手の英『パフォーム・グループ』と放映権料2100億円(10年)の大型契約を結んだことをきっかけに、今季からのリーグ優勝の賞金を3億円から総額15億円にアップさせました。ヴィッセルは今が好機と大物の獲得に動いたのでしょう。年俸10億円払っても、優勝すれば5億円プラスとなりますからね」

スポーツ紙記者は、続けてこう苦笑する。

「実はポドルスキ獲得は、クラブの親会社である楽天・三木谷浩史会長の肝煎(きもい)りとの噂です。このクラブは選手獲得の裁可を三木谷氏が行なっているのですが、外国人の場合、彼自身が知っているビッグネームでないと、なかなかお金を落としてくれないんですよ」

さて、元ドイツ代表の名FW獲得はサポーターにとって朗報のはず。さぞ盛り上がっていると思いきや…。「ノエビアスタジアム神戸」そばの笠松商店街の釜須(かます)一昭理事は少し冷めた口調でこう話す。

「名選手だからといって、無邪気に歓迎するという気持ちにはなれません。“イルハン”がトラウマになってて…」

イルハンは02年の日韓W杯でトルコ代表を3位に躍進させたFWで、甘いマスクが日本でも話題になった。04年、ヴィッセルは総額9億円(移籍金5億円、年俸2億円×2年)で獲得。だが、彼はわずか3試合に出場しただけで、1得点も取れずに帰国してしまったのだ。

前出のスポーツ紙記者がサポーターの心情を代弁する。

「ポドルスキはイルハンの二の舞いになるかもと疑っているんです。昨季、ヴィッセルが躍進したのは得点王のレアンドロ、アシスト役のジュニオールのブラジル人コンビが機能したから。ところが、ジュニオールは移籍してしまった。ポドルスキはその後釜に指名されたわけですが、彼は昔から性格に難ありといわれる“王様気質”。加入しても、ツートップが張り合ってうまくいかない可能性があります」

ポドルスキはヴィッセルにとって吉か凶か。移籍が実現すれば、その答えがわかる。