大事なわが子が事件や事故に巻き込まれたら、と心配するのは無理もない

「男性保育士に娘の着替えや排せつの世話をやってほしくない」という保護者の意見に対し、千葉市の熊谷俊人市長(38歳)がツイッターで「社会が考慮するに足る理由無しに性による区別をすることは差別です」と発言、議論を呼んでいる。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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ふたりの子供を保育園で育てた私は、散歩の際の安全面でも男性保育士が必要だと思っています。今、男性保育士に娘の着替えをさせてほしくないという保護者の声が問題になっています。男性保育士への偏見だ、性差別だというのはもっとも。

ただ、保護者の不安もわかります。自分の目の届かないところで、わが子が怖い目に遭ったり、イヤな思いをしていたりしないかという不安はどんな親にもあります。相手が女性であっても、です。大事なわが子が事件や事故に巻き込まれたら、と心配するのは無理もないこと。

子供の気持ちもあります。自分が5歳の頃を思い出すと、幼稚園の男性教諭を異性として意識していました。異性の看護師や介護士に抵抗を感じる女性がいるように、なかには着替えをいやがる女児もいるでしょう。

男性保育士の気持ち、親の気持ち、子供の気持ち。どれもわかるから、今回の議論はとても悩ましい。まずは男性保育士を増やすことが第一歩ですね。待遇を改善して多様な人材を集め、専門性の高い職業であるという理解が広まれば、親も男性保育士を男性小児科医と同様の感覚で見るようになるのかも。

●小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト。ふたりの息子は保育園育ち。中2と小5の今でもしょっちゅう保育園の思い出話をしています。私たち夫婦は、保育士さんたちにたくさん励まされ、教えられて親になりました。大感謝