不参加表明を受け、侍ジャパンの公式ホームページでは、“ドル箱”となるはずだった大谷のレプリカユニフォームが早くも消えた。(侍ジャパン オフィシャルオンラインストアH.Pより)

大谷のWBC不参加の発表後、球界はいまだに“大谷ロス”に揺れている。

侍ジャパンの小久保裕紀監督は「逆に翔平がいなくなった分、チームの結束が高まるのを期待」と代表を鼓舞したが、戦力の大幅ダウンは避けられない状況だ。だが、あるTV局関係者は「戦力面よりも、大谷の不参加による経済的なダメージのほうが大きい」と漏らす。

「野球は相手があることだから、戦ってみなければわからない。場合によっては戦力としての大谷の穴は埋まる可能性もあるでしょう。でも経済的な意味での大谷の穴は絶対に埋まりませんよ」

現に大谷の不参加決定で、興行サイドは真っ青だという。

「チケットの売り上げはもちろん、CMやグッズ販売も今回は皆“大谷頼み”。ドル箱と見られていた大谷のレプリカユニフォームもすでに予約がストップされました。開幕まで1ヵ月を切っているのに、大会のTVCMやプロモーション動画は作り直さなければならない。広告代理店も今後、大谷の名前や顔が一切使えないと大慌てです。損失額ですか? 正直、見当もつきませんが、億も2桁になることだけは間違いないでしょう」

今回、大谷の不参加発表を受けて一部では「本当は出られる状態なのに、仮病を使っているんじゃないのか?」といった心ない声も上がったが、真相はむしろ逆だろう。

「興行的にも今回のWBCは大谷ひとりに“おんぶに抱っこ”状態。本人もそれを十分わかっていただけに、なんとかギリギリまで出場の可能性を探っていたはずです」(スポーツ紙デスク)

アメリカからも落胆と困惑…

一方、大谷ロスによる経済的損失は、海の向こうのアメリカからも聞こえてくる。

「もともとアメリカでは3月に行なわれるWBCはあまり話題にならず、注目度ではNCAA男子バスケの全米大学選手権の足元にも及びません。それでも今回は、“イチロー級”の関心度を誇る大谷がドジャー・スタジアムにやって来るとあってMLB側はグッズを含めた経済効果に大きな期待をしていた。それだけに落胆も小さくないでしょう」(メジャーリーグに詳しい関係者)

特にTVへの影響が深刻だという。

「放映権料の交渉時も、大谷の存在は大きかったと聞いています。お目当ての選手が来ないわけですから、中継するESPNも“こんなはずでは…”と困惑しています」

ただ、侍ジャパンや興行サイドの損失もさることながら、プロ野球ファンが受けたダメージはある意味、それ以上といえるかもしれない。

「今回のケガにより、今後、大谷の二刀流に対する風当たりは一層強くなるでしょう。投げてはエース、打っては主軸というマンガのような活躍でここ数年、球界を牽引してきた大谷ですが、このケガで二刀流が封印されるようなら、『やはり二刀流は無謀だったのか…』と、ファンの幻想が一気にしぼみかねません」(前出・TV局関係者)

「WBCだけを考えてやってきただけに、今は何を目標にやっていったらいいかわからない」とのコメントを残した大谷だが、それは“大谷ロス”に揺れるファンの思いも一緒かもしれない。