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アパホテル騒動で中韓メディアが“誤報の連鎖”。反日感情を煽るには絶好のネタだった?

[2017年02月16日]

―李さんの“エアインタビュー”までありましたか…。他にメディアによる“誤報の連鎖”といえば?

 日本のメディアによる誤報に当事者として関わった、というか巻き込まれたことがあります。小野寺五典さんが防衛大臣だった2013年当時、記者会見で私が「尖閣諸島周辺の領空に中国の飛行機が入った場合、警告射撃はあり得るのか?」という質問をしました。それに対する小野寺大臣の答えは「国際的な基準に合わせて間違いのない対応を備えている」というものに留まり、尖閣諸島という個別の案件へのコメントは控えました。

ところが、朝日新聞のニュースサイトが「防衛相『領空侵犯、信号弾で警告』中国メディア質問に」といった見出しで、「無線での警告などに従わずに侵犯を続ければ、警告として信号弾を射撃する方針を明らかにした」と報じたのです。実際には、小野寺大臣は「信号弾」や「警告射撃」という言葉は使っていません。

この朝日の記事は、その日の内に中国国内でもトップニュースとして報道されて非常に大きな反響がありました。中国メディアは、ニュアンス的には「日本の防衛相が“再戦”を布告」「中国に対する射撃を通告」といったトーンで伝えたので、外交的にも非常に危険な局面に進みかねなかったと思います。

─誤報によって戦争が起きていたかもしれない。

 そうです。私も危険を感じて、ブログで「小野寺大臣の発言は、本当は違う意味のものだった」と発信したのですが、中国人の反応は「朝日新聞が書いているのだから間違いない!」というものでした。中国人や中国メディアの傾向として、日本の大手メディアを過信している点が挙げられます。小野寺大臣に質問したのは他の誰でもない、この私なのに。

先日も稲田朋美防衛大臣の記者会見で、中国の国防部が公表した日中の戦闘機が対峙している画像に関して、私はその真偽を稲田氏に質問しました。それに対する答えは「この画像の一部はCG加工されている」というものでしたが、ある中国メディアは「日本の防衛大臣が自ら示した画像が真実でないことを渋々認める」というニュアンスで伝えました。

つまり、稲田大臣が「CG加工されている」と言ったものは、もともと中国の国防部から出たものだったのに、中国メディアの報道では「日本が加工して示していた」ことにすり替わってしまっていたのです。誤報の連鎖というか、もはや一般の人にとっては何を信じていいのかわからない、危機的状況だと思います。

繰り返しになりますが、ジャーナリズムの基本は「ニュースソースを確かめる」「当事者に確認する」というもので、私自身は政府から発表されるリリースであっても必ず確認作業を経てから情報発信するように努めています。この確認作業は、今の時代にあってはジャーナリストだけでなく、インターネットでニュース情報に接するのなら、すべての人に必要となってきていると思います。

●李淼(リ・ミャオ)
中国吉林省出身。1997年に来日し、慶應大学大学院に入学。故小島朋之教授のもとで国際関係論を学ぶ。2007年にフェニックステレビの東京支局を立ち上げ支局長に就任。日本の情報、特に外交・安全保障の問題を中心に精力的な報道を続ける

(取材・文/田中茂朗)


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