『すべての疲労は脳が原因』シリーズの著者・梶本修身先生

最新科学が解明した疲労の原因、それは脳だった! そんな研究結果を詳細に解説し大反響となった昨年4月発売の新書『すべての疲労は脳が原因』(集英社刊)。

その好評に応える形で、より実践的な疲労回復方法に踏み込んだシリーズ第2弾『すべての疲労は脳が原因2<超実践編>』が昨年末に発売。2冊とも専門的な内容にも関わらず、計15万部超の大ヒット。慢性的な疲労に悩まされている人の多さが伺える!?

前編では、睡眠の質が悪い週プレNEWSスタッフ・オブチを例に「自律神経と眠りのメカニズム」などを著者で東京疲労・睡眠クリニックの院長を務める医学博士・梶本修身先生に伺ったが、今回はより実践編! すぐにでも導入すべき「睡眠前の環境作り方法」や「睡眠以外で実践できること」などを教えていただいた!

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中途覚醒・寝汗・浅い睡眠などの問題を抱えるオブチほどでないにしても、睡眠を上手にとれないことによる疲れに悩んでいたり、なんとなく疲れがとれないなど思っている人は多いはず?

そこで今回、睡眠前に自律神経を整え快適な睡眠環境を作る5つの方法を梶本先生が教えてくれた。

(1)心地よい音楽を聞く副交感神経(体がリラックスして休息、体を回復させている場合に働く神経)を優位にするには、ゆらぎがある音楽がいい。クラッシックが良いとされているが、なかでもモーツアルトが良いとか。もちろん、好きな音楽で癒やされるのもいいが神経が高ぶりそうなジャンルは避けたほうがいい。

(2)心地よい香りをかぐ音楽よりも直接的に人体にアプローチするのが香り。寝室を自分の好きな落ち着く香りにするのも、リラックスして眠りにつく手だ。また、最新の研究により脳の自律神経の中枢に近い場所を刺激し、癒やし効果をもたらす「緑林の香り」という商品があるそうなので、気になる人はチェックしてみては。

(3)内を快適に保つ汗をかくこと=自律神経が働いていることになる。これを避けるには暑い日はエアコンをつけて寝るのがオススメ。また、寝つく時だけタイマーをセットするよりも、起きる時間までエアコンを稼働させるほうがいい。急激な温度変化で自律神経が乱れたり、暑くて途中で起きてしまい睡眠不足に陥るのを防ぐためである。

(4)光を制す寝る3時間ほど前から、眩しい光を見ないのがベター。また、真っ暗だと不安を感じる場合もあるため、人影が見える程度の明るさの足元ライトをつけて寝るのもいい。

(5)イビキをコントロールする自分のイビキの音で起きるほどであれば、専門病院で器具を使いイビキが少なくなるようにコントロールする必要も。梶本先生自身、かつてはイビキがひどく、8時間寝ないと眠気がなくならない状況だった。しかし、イビキをコントロールしている今は5.5時間睡眠で平気だという。

疲れないための奥義は、「衝動を大切にする」

また、睡眠方法以外に梶本先生がオススメしたいこととして「イミダペプチド」の摂取を挙げる。

「鶏のむね肉に豊富に含まれる成分ですが、サプリメントでもあります。私も旅先などには持って行くようにしてますね。忘れてしまったりして飲めなかった時の疲れは明白で、特に夕方からの疲れ度合いが全然違うんですよ」

さらに疲れないための奥義は、「衝動を大切にする」だという。

「例えば、『シンドイからバスよりタクシーに乗ろう』と思ったら、その衝動を大切にしたほうがいいですね。意識がモニタリングできなくて原因がわからないんだけど、無意識の集大成が『タクシー』というメッセージを送っているかもしれないんです。前頭葉が発達しているから『でもバスがいい』になると思いますが、第六感的な情報を大切にすることも疲れを避ける方法のひとつですね」

体からのシグナルに素直になる。そんなことが、脳を労(いたわ)り、ひいては疲労が軽減されやすくなるということのようだ。

しかし、まずは日々の疲れをとるために良質な睡眠をとることがマスト。心地よく眠るための環境を整えて疲れた脳を癒やす。さらに、場合によってはサプリなどを併用することで疲れにくい体を作っていくのだ。

(取材・文/渡邉裕美)

●取材協力/梶本修身先生医学博士。大阪市立大学病院疲労医学講座特任教授。『東京疲労・睡眠クリニック』院長。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗う疲労食薬開発プロジェクト」の統括責任者。

『すべての疲労は脳が原因』本体700円+税 『すべての疲労は脳が原因2<超実践編>』本体720円+税(いずれも集英社刊)