稀勢の里関、横綱昇進おめでとうございます! 私も祝杯を挙げさせていただきました

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今回は稀勢の里関の横綱昇進を喜ぶ彼女が、今年の大相撲について語ってくれた。

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ついに! 稀勢の里関が初優勝を果たし、横綱に昇進しました! 本当におめでとうございます!

初場所の千秋楽翌日には、『ユアタイム』にもご出演いただきました。これまでも、番組で私が稀勢の里関を応援している姿を見てくださっていたそうで、民放では唯一、この番組にだけ出演していただけたんです。あまりにも光栄すぎて、「今日が私の人生のピークかな?」と思いました(笑)。

番組では、稀勢の里関の素顔を引き出そうと、仲のいい力士の方に伺ったエピソードなどを用意していたんですが、なかなか核心には迫れませんでした。まだまだお聞きしたいことが山ほどあるので、またの機会にじっくり伺ってみたいです。

そんな稀勢の里関の今場所の取組は、正直に言って、危ない日が多かったです。千秋楽の白鵬戦では、横綱のがぶり寄りを土俵際で3秒も耐えて、大逆転をしました。師匠の先代・鳴戸親方は生前、「土俵際が一番面白い。そこで力を抜いちゃだめだ」と言っていたそうなので、まさにこの教えを地で行ったとも言えますが…。

私が一番興奮した取組は、14日目の逸ノ城戦です。最初、立ち合いの呼吸が合わず逸ノ城が前に出てしまったとき、稀勢の里はピクリとも動かなかったんです。その落ち着きようには驚きました。結果、もろ差しで逸ノ城を押し出し、優勝を決めました。これまで、プレッシャーに弱いといわれてきた稀勢の里ですが、これだけ長く幕内で戦ってきただけあって、すごい精神力を持った人なんだなとあらためて思いました。

17年は世代交代がキーワード

他の力士では、序盤は御嶽海の活躍が目立ちましたね。もともと「付け出し」という飛び級のような制度で幕下からスタートし、2場所で十両にスピード昇進した若手なんですが、今場所では所要12場所で2横綱を下す「スピード金星」を挙げました。ほんとはもっと騒がれてもいい逸材だと思うんですが、遠藤のように話題にならないのは、ルックスの差もあるんでしょうか…。でも、会場には地元・長野から応援団が来ていて、稀勢と同じくらい大きな声援を浴びていましたよ。

打って変わって、後半は遅咲きの力士といわれる玉鷲が楽しい取組を見せてくれました。鶴竜戦では、突き押しで圧倒。玉鷲は先場所から冴えた突き押しを見せるようになり、32歳にして覚醒した感がありますね。

ただ、ベテラン勢は総じてパッとしませんでした。鶴竜、日馬富士、豪栄道らが休場し、琴奨菊も大関から陥落。みんな30代なので仕方ないかなとは思うんですが、若手が強くなっているのも確かです。これって、よくよく考えると“世代交代”が本格的になってきたことを示しているんじゃないでしょうか。

この世代交代には、ある背景があります。2011年の大相撲八百長問題で、前頭や十両の力士が大勢辞めた結果、ここ数年は実力のある上位陣と若い下位陣の力士が大勢を占め、中間がぽっかり空いていたんです。それがここにきて、やっと下位陣が上位陣に追いついてきたんだ、と私は考えています。17年の大相撲は、世代交代がキーワードになるかもしれません。

●市川紗椰(さや)1987年2月14日生まれ。アメリカと日本のハーフ。モデルとして活動するほか、報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める。年末の歯ぐきの手術から10日後、年明けに抜糸をして心が軽くなった