仕事にやりがいや生きがいを求めず、稼ぐための手段と割り切るほうがいい?

 「ワーク・ライフ・バランス」を目標とする「働き方改革」。残業時間上限を月平均60時間とする案も発表されたが、本当に日本人の働き方は変わるのだろうか。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、前編記事に続き、これからの時代の働き方を議論する!

* * *

ひろ ちなみに働き方でいうと、企業が従業員を解雇しやすいアメリカの失業率って約5%なんですよ。一方で、解雇しづらいフランスはアメリカよりも高い約10%。「解雇しづらいから人を雇わない」という流れが加速しているんです。

ホリ 足りない労働力は、外注とかフリーランスの人に頼むことで補っているんだろうね。

ひろ 日本も解雇しづらいので、そういう流れになりそうですよね。外注なら残業の制限も解雇規制もないですからね。特にテレビの番組制作やゲーム開発とか、やりたい人がいっぱいいる仕事ではフリーランスやボランティア的な働き方が増えていきそうな気がします。

ホリ だからこそ俺は『堀江貴文イノベーション大学校』というオンラインサロンをやってるんだよ。

ひろ 「だからこそ」ってのは、どういう意味ですか?

ホリ サロンでは「俺がおもしろいと思うこと」や「会員自身が好きなこと」を自主的にやって、文化祭的なノリで街フェスなんかも開催してる。で、俺は給料を払うどころか、会員から月に1万円ずつ会費をもらってるんだよ。

ひろ ボランティアもそうですけど、自分の好きなことや、やりがいがあることならタダでも作業をしたいっていう人はいますからね。そして、それが清掃活動なのか、堀江さんに関連することなのかの違いだと。んで、そういう人たちを組織するときに、あえて「会社」や「仕事」という枠組みにしなかったってことですね。

お金を払うんじゃなくてもらうほうが絶対にいい

ホリ そうそう。仕事じゃないし、みんなが好きでやってるから、労働時間とかの制限がないの。もちろん、最低賃金とか労働基準法とかも関係ない。

ひろ 自発的に作業をしてる人たちでも、そこにお金を介在させると労働基準法みたいな縛りが出ちゃう。だったら、お金を介在させなければいいということですね。ちなみに、コミックマーケットも多くのボランティアによって支えられているみたいです。

ホリ そう考えると、例えばギャラがなくてもテレビ番組に出たい人はたくさんいるだろうし、タダでもいいからテレビ番組制作に携わりたい人はいっぱいいるわけでしょ。

ひろ 単純に好きで楽しいってのもありますし、そこで得た人脈や経験が将来役に立ったりとかもありますからね。

ホリ あと、少しでもお金を払うと、なかには「こんな待遇はおかしい!」とかって勘違いして、労働基準監督署に駆け込む人とかもいるからね。だから、お金を払うんじゃなくてもらうほうが絶対にいいんだよ。

ひろ でも、その一方でお金がないと暮らせないって事実もありますよね。

ホリ それはほかのことで稼ぐしかないよね。

ひろ ということは、働き方が変わっていくなら、仕事にやりがいや生きがいを求めず、稼ぐための手段と割り切るほうがいいって考えですね。んで、趣味とか好きなことで楽しむという。

ホリ そうそう。

ひろ 日本はやりたいことと仕事を一緒にするという労働観が強いですからねぇ。

ホリ 要は、マインドの問題なんだよ。

ひろ 早く「生活の安定」と「生きるためのやりがいづくり」が分かれる時代になればいいですね。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)