匿名の通信に対応しており、ハッカーたちに活用されているアプリが「Onion Browser」だ。現在、スマホ版もリリースされている。「Onion Browser」を使用して検索をすると、Googleとはまったく違う検索結果が表示される

わからないことはとりあえずググって…が当たり前な昨今。だが、Google検索でヒットしないサイトがあるという。

『週刊プレイボーイ』本誌で「石川英治のホワイトハッカーなんでも相談室」を連載中のホワイトハッカー・石川英治が、その実態に迫る!* * *

今ではわからないことがあっても、たいていの情報はググって即解決な感じですけど…。Google検索でヒットしないサイトがあるという。しかも、そこにはヤバすぎな情報がいっぱいとか!?

―石川さん、こんなサイトって本当にあるんですか?

石川 「Deep Web」や「Dark Web」のことですね。

―このふたつは別物?

石川 「Deep Web」はGoogleをはじめとする検索エンジンの検索を拒否するように設定されたサイトです。実は、このようなサイトは不正アクセス禁止法が施行される2000年以前は“UG”と呼ばれ、日本にもたくさんあったんです。

―「Deep Web」では何が行なわれているんですか?

石川 お金儲けの情報とかハッキングツールの売買ですね。まー、詐欺とか多かったですけどね。サイト管理者が逮捕されたりもして、玉石混交な状態が楽しかった時代でもありました。今は沈静化していますよ。

―では、「Dark Web」はどんなものなんですか?

石川 こっちは匿名通信の行なえる専用ツールを使用して、閲覧するサイトですね。内容的にはモロ犯罪ですし、もちろん検索エンジンには引っかかりません。

―完全にアウトなやつじゃないですか! 例えば、どんなやりとりが行なわれているのですか?

石川 インターネットウイルスの販売から、その使用方法など犯罪につながるものはすべてそろいますよ。なんでもアリの闇市です。武器だって買えるし、それどころか殺し屋も雇えます(笑)。

「Dark Web」を閲覧する方法は?

―石川さん、それ「(笑)」じゃないから! ちなみに、購入したものの支払いはどうするんですか?

石川 匿名重視の「Dark Web」では法定通貨ではなく、ビットコインなどの仮想通貨での取引になりますね。

―どのような人間が「Dark Web」を管理しているんですか?

石川 ハッカー崩れですね。過去にネット犯罪で起訴され、「まともに就職はできないけど、技術はある!」という連中が暗躍する場となっているのです。あと、ハッカーの中には「悪いことをしたほうが儲かる!」と考える若者も多いですからね。

―では、「Dark Web」を閲覧する方法とは?

石川 まずは専用ツールを探すことですね。ちょっとネットの知識があれば、すぐに発見できるでしょう。結局、一般的にネットで閲覧されているサイトというのは、ほんの一部ということが実感できると思います。

―これらへの警察の対応策は?

石川 日本の警察では、ある程度の要注意サイトを監視していますが、「Dark Web」に関しては野放し状態です。米国では取り締まりが強化される一方で、より深くまで潜るサイトが登場していますから、まだまだイタチごっこが続きそうですね。

●石川英治(いしかわ・ひではる)1969年生まれ。現役の“ホワイトハッカー”で、ネットワーク犯罪評論家。不正アクセス禁止法の施行(2000年2月13日)以前は、バリバリのハッカーとしてやんちゃなことも