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自衛隊海外派遣の本当のリスク「紛争地に武器を持っていって、何もないなんてありえない」

[2017年02月28日]

「駆け付け警護やいろんなテーマを感じ取ってくれる読者がいるなら、それはテーマの提示に成功した証拠。書き手としては、うれしいかぎりです」と語る月村了衛氏

安倍政権が南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊に「駆け付け警護」の新任務を付与したことで、隊員が戦闘に巻き込まれる危険性が指摘されている。「駆け付け警護」とは、自衛隊が武装勢力に襲われた国連やNGO、他国軍兵士を救助することを指す。つまり、こちらから「出向く」行為だ。

しかし、そのリスクは実は小さい。南スーダンに派遣されている自衛隊は道路や橋を造る施設部隊で、PKO司令官が実際に命令を下す可能性はほぼゼロといわれているからだ。

実は、海外の紛争地で活動するNGO関係者の間ではこうささやかれている。「本当に怖いのは駆け付け警護ではなく、“駆け付けられ警護だ」と。「駆け付けられ警護」とは、紛争に巻き込まれ、助けを求める住民を保護しようと、追尾してきた武装勢力と戦闘になることを指す。自衛隊からはなんのアクションも起こしていないのに、突発的に交戦に突入してしまうのだ。死傷者を出すリスクはこちらのほうがはるかに大きい。

その事実に、いち早く警鐘を鳴らしていた冒険小説がある。月村了衛氏の『土漠の花』だ。

* * *

―東アフリカのソマリアで墜落ヘリを捜索中の陸上自衛隊が、敵対する氏族から逃れてきたスルタン(氏族長)の娘を助けたことで、壮絶な戦闘に巻き込まれる。これはまさに「駆け付けられ警護」です。執筆時期は2013年ということですが、集団的自衛権の行使容認を認めた安保法制が成立するのは、その2年も後のことです。先見の明がすごい!

月村 先見の明だなんて、とんでもない。執筆当時はまだ、「駆け付け警護」という言葉がニュースで取り上げられていなかった時期です。まして、「駆け付けられ警護」なんて言葉は思いつきもしませんでした。

―ではなぜ、海外派遣中の自衛隊が戦闘に巻き込まれる設定を思いついたのですか?

月村 想像力を働かせただけです。当初から周りには「直球の戦争冒険小説」を書くと宣言して、執筆に着手しました。日本で日常的に戦闘訓練を行なっているのは自衛隊だ。でも、国内で戦争は無理がある。ならば海外ではどうだろう? とはいえ、交戦を禁じられている自衛隊が自ら発砲することはありえません。

だったら、現地の住民に助けを求められ、やむなく戦闘になるというのはどうだろうか? そんなことを考えているうちに、海賊対処行動でソマリアに派遣された12人の自衛隊員がスルタンの娘を助けようとして、命を賭してソマリアの土漠で戦いを繰り広げるというストーリーが浮かんだんです。

―「駆け付けられ警護」の危険性を多くの人々に知ってもらうために、この作品を書いたわけではないんですね。

月村 小説とはテーマを訴えるためのものではありません。テーマはストーリーを書いているうちに、自然に浮かび上がってくるものではないでしょうか。この本を読んで、駆け付け警護やいろんなテーマを感じ取ってくれる読者がいるなら、それはテーマの提示に成功した証拠。書き手としては、うれしいかぎりです。


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