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巷で話題の「切腹ピストルズ」とは? 江戸庶民の“乱痴気騒ぎ”を現代に伝える和楽器パンクの心意気

[2017年03月03日]

頭の中をPUNKの4文字に支配されていた時は、和楽器はおろか、落語などの伝統芸能は堅苦しくてつまらないと思っていたという飯田隊長

頭の中をPUNKの4文字に支配されていた時は、和楽器はおろか、落語などの伝統芸能は堅苦しくてつまらないと思っていたという飯田隊長

落語の次は薪能の奥深さを知った。日本にはこんなにも面白い、独自の大衆芸能があったのか、そしてその情報は簡単に手に入る…頭の中をPUNKの4文字に支配されていた時には気付くはずもなかったことだ。

切腹ピストルズは1999年の大晦日に始まったが、当初の楽器編成に和楽器はなく、その後も民謡やお囃子などの笛のフレーズをサンプリングしてループさせる程度だった。

「パンクって、やっぱり若いヤツがやったほうがカッコいいんですよ。年を取ってくるとしみったれてくるというか、ただの愛好家みたいな感じになってくる。一方で、和楽器は年齢を重ねるほどカッコよさが出てくる。当時から50歳や60歳になった頃には全部、生の和楽器でやりたいという想定はあったんです」

それは想定より早く実現することになる。きっかけは、東日本大震災と福島第一原発事故だった。

「これはもう近代のクライマックスだろうと。あれほどの事故が起きて、やれ節電だとかなんとか騒がれている中、果たしてミュージシャンはどういう表現をしていけばいいのか、みんなが自問自答を始めていた。じゃあ、俺らはもうギターとかどうでもいいよ、西洋楽器棄てちゃってもいいんじゃないかって。それで、ムリして太鼓一式買っちゃったんです」

逆説的だが、潔くピックを撥(ばち)に持ち替えることができたのは、パンクをやってきたからだ。

「パンクは、楽器なんて触ったこともなかった若者たちが社会への怒りにまかせて衝動的に始めたもの。ろくすっぽ楽器が弾けないのに叫んでりゃいい、みたいな。その感覚で太鼓を始めました」

和楽器編成になって初めての「舞台」は事故から約半年後、原発から20キロ圏の立ち入り禁止区域手前の路上だった。ほとんど曲もできていない状態で、どうしていいかわからないまま、太鼓2台と三味線と鉦を打ち鳴らし、「バカヤロー!」と原発に向かって叫んでいた。偶然通りかかった5名ほどのボランティアの人間が車から降りてきて、拍手をしてくれた。

その後、切腹ピストルズは隊員を増やし、現在は総勢18名。神社の奉納や各地の祭り、芸術祭、ライブハウスなど多方面からお呼びがかかるが、これでカネを稼ごうという目的はなく、交通費や宿泊費で足が出ることもあるという。隊長の飯田自身、デザイナーをやっているように、隊員の各々が食い扶持となる職を持っている。


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