週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 金融ビジネス化した「奨学金制度」に潜むワナ…学生を借金まみれにして苛酷な取り立て!

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金融ビジネス化した「奨学金制度」に潜むワナ…学生を借金まみれにして苛酷な取り立て!

[2017年03月14日]

「本来は、『延滞や返済困難な状況が一定の割合で起こりうる』という前提で、運営が行なわれるべき。それが失われ、返還に窮する人が増えているというのが奨学金の現状です」と語る岩重佳治氏

今や大学生の半数近くが利用している「貸与型」の奨学金制度。

利用者増加の背景には、高騰する学費、貧困や格差の拡大があるという。学生たちは大学卒業と同時に、数百万円という巨額の負債を背負うことになる。

弁護士として、非正規雇用や不安定労働に就かざるをえず、奨学金の返済に苦しむ人たちの救済活動を行なってきた『「奨学金」地獄』の著者・岩重佳治氏が、単なる「金融ビジネス」と化してしまった日本の奨学金制度の問題点を鋭く指摘する。

* * *

―本書では、奨学金の返済に苦しみホームレスになった人、風俗やAV出演で働く人、厳しい取り立てによって精神を病み、家族関係が悪化してしまった人などのエピソードが紹介されています。こうした実態があることに、素直に衝撃を受けました。

岩重 奨学金をめぐる問題がここまで深刻化した理由は大きく分けてふたつあります。

ひとつは「社会背景」の変化です。1980年代の中曽根政権の頃から大学などの高等教育への公的支出が減り、学費は高騰し続けています。2000年代以降には、急激に非正規雇用が増え、奨学金返済の前提となる「安定した雇用」が崩壊しつつあります。

学費高騰で奨学金に頼らざるをえない学生の数は大幅に増える一方で、雇用の安定は失われているのですから「貸与型」の奨学金制度が行き詰まるのは、当然の帰結といえます。

もうひとつの要因は、奨学金制度の「質的な変化」です。日本の奨学金制度の運営は2004年に、それまでの「日本育英会」から独立行政法人「日本学生支援機構」へと引き継がれたわけですが、独立行政法人は財政的に厳しいチェックを受けることになるため、融資の回収率を上げなければならない。

特に、利子つきの貸与である「第二種奨学金」は日本学生支援機構が銀行や財政投融資など、外部の資金を借り入れる形で運営されているため、「金融のルール」が最優先されることになります。その結果、利用者の実態を考慮することなく厳しい取り立てを行なってでも回収率を上げることに注力するようになる。実際、日本学生支援機構の融資額回収率は約95%と、メガバンク並みの高さになっています。

返済能力や担保の厳しい事前審査を行なうメガバンクの回収率と、卒業後の仕事や収入がどうなるかもわからない学生たちが借りる奨学金の回収率が同じ水準というのは普通に考えればありえないことです。

―つまり、それだけ取り立てが厳しい、あるいは奨学金を返済する人たちに無理を強いているということの裏返しだと。

岩重 そのとおりです。もちろん、金融ビジネスとして考えれば、融資の回収率を上げるのは当然のことでしょう。しかし、繰り返しになりますが、奨学金は「将来の保証がない学生」を対象にした融資です。

本来なら、「延滞や返済困難な状況が一定の割合で起こりうる」という前提で制度設計をし、それに基づいて運営が行なわれるべきなのです。それが失われてしまい、返還に窮する人たちが急激に増えているのが奨学金の現状なのです。


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