実は、CIA(アメリカ中央情報局)は公式サイトが大充実。特にFlickrは世界各国の勢力地図から特殊グッズまで、レアすぎる画像素材がわんさか

金正男氏が暗殺され、毒針や毒ガス噴射器などに注目が集中! では、スパイや工作員が使用するハイテクなグッズはどんなものがあるのか?

『週刊プレイボーイ』本誌で「石川英治のホワイトハッカーなんでも相談室」を連載中のホワイトハッカー・石川英治が解説する!

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―それでは石川さん。まずは通信機器ではどうでしょう。やっぱ、ジェームズ・ボンドのような特殊ガジェットを使用中なんですか?

石川 私の知っている限りですと、普通のスマホですよ。

―え? そこらで買えるiPhoneとかですか?

石川 はい。電話もネットも特殊に暗号化された回線ではなく、一般の回線を使用しているそうです。

―それじゃ、いろいろとダダ漏れじゃないですか!

石川 いや、防諜(ぼうちょう)用に特殊な回線を作ったら、そっちのほうが目立って捜査対象になりますよ。なので、一般回線を使い、暗号解読などにはカスタムされたアプリを使用してやりとりを行ないます。

また、スマホ本体も市場に流通している民生品を使うことで足もつきづらいですからね。

―って、石川さん! なんでそんなこと知ってるんですか?

石川 まー、ハッカー崩れで、そっちに流れてしまう人間もいますからね(笑)。

―ではでは、盗撮用のカメラなんかはどうでしょう?

石川 民生品の超高解像度のCCDカメラがあれば十分ですね。ただ、レンズには無反射のフィルターを装着します。このスペックでも5万円もあればそろいます。

録音機器もスマホアプリで十分

―録音機器はどうですか?

石川 特定の周波数を細分化できる録音装置が便利なんですけど、実はこれもスマホのアプリで十分なんですよね(笑)。

カメラにしても録音機器にしても、専用の機器を使用するより、民生品を使用したほうが目立ちません。ほら、iPhoneで撮影するなんて普通の光景じゃないですか。自撮りをするふりをして、その背景に重要なものを写し込めば誰にも怪しまれずに、どこでも撮影することができます。

なので、スマホのカメラが民生品より解像度が高く、撮影した画像を特殊なカメラロールに保存できるなどの、カスタマイズされたスマホがあると工作員も便利でしょうね(笑)。

―確かに! それ便利かも!!

石川 あと、昔のスパイ映画のように盗聴とか盗撮とかをやるより、スパイ対象者のPCやスマホをハッキングしたほうが安全で確実に情報を入手できるんですよ。

だから各国の諜報機関は、それらのハッキングに対応ができる有能なハッカーを求めて、大学やハッキングの大会などでスカウトを行なっているんです。

―先ほど、チラッと話題が出た“ハッカー崩れ”もそっちに?

石川 過去にネット犯罪などで逮捕歴がある連中は、正規で諜報機関や大企業には雇用されないから、ダークサイドで暗躍します(笑)。彼らは、そもそも腕はいいわけですから、もったいないですよね。

●石川英治(いしかわ・ひではる)1969年生まれ。現役の“ホワイトハッカー”で、ネットワーク犯罪評論家。不正アクセス禁止法の施行(2000年2月13日)以前は、バリバリのハッカーとしてやんちゃなことも