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裁判官全員一致で朴大統領の罷免決定。日本には存在しない「憲法裁判所」とは?

[2017年03月23日]

韓国では憲法裁判所の創設により、「国民ひとりひとりが『憲法は自分たちの日常に深い関わりを持つものだ』と認識するようになった」と語る金惠京氏(撮影/細野晋司)

3月10日、韓国の憲法裁判所で朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追が審議され、裁判官全員の一致で大統領の罷免が決定した。

韓国で国民の信頼を集めているという、この「憲法裁判所」という機関は日本には存在しない。日本の最高裁は違憲についての判断に消極的で、司法の力は弱いと言われている。

「週プレ外国人記者クラブ」第69回は、ソウル出身の国際法学者として様々なメディアで活躍する金惠京(キム・ヘギョン)氏に韓国での憲法裁判所の成り立ち、そして国際的視点から見た日本の司法について話を聞いた――。

***

―韓国の憲法裁判所の役割と、設置された経緯を教えてください。

 一般的な憲法裁判所の主な役割として、違憲審査を行なうことが挙げられます。違憲審査というのは、法令などが憲法に違反したものでないかを審査及び判断することです。韓国の憲法裁判所においては「法律に対する審判」「弾劾審判」「政党解散審判」「国と地方自治体の(あるいは地方自治体間の)権限争議審判」「公権力による基本権侵害に対する審判」「裁判所による違憲審判申請棄却への審判」が行なわれます。

韓国では、1987年6月に起きた民主化運動の成果として88年2月から現行憲法が施行され、その中で憲法裁判所についての規定が新たに盛り込まれました。そして、88年9月に憲法裁判所が創設されたという経緯があります。

―韓国では民主化に伴って憲法裁判所が設置された、ということですね。

 そうです。憲法裁判所が設置される以前までは、日本の最高裁に当たる大法院に違憲審査を行なうか否かの決定権が与えられる制度がとられていましたが、その72年12月から88年の憲法改正までの間、違憲審査は1件も行なわれていませんでした。

民主化に伴い、大法院が違憲審査を行なうことも検討されましたが、大法院は政治に介入することを回避したいとの立場をとったことから、憲法裁判所が設けられるようになったのです。そして国民も、本来は憲法で守られるはずの自由や権利が司法によって守られていないと感じていました。これも、憲法裁判所が設置された大きな要因のひとつです。

―日本では違憲判決はようやく、ふた桁に達した程度ですが、韓国ではどうですか? 

 88年の創設から2015年12月までの間で、韓国の憲法裁判所は854件もの違憲審判を行なっています。しかし、憲法裁判所はその決定が民主主義に基づく政治的な判断を侵害し過ぎないように意識している面もあります。

例えば、2004年に国会が可決した盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領への弾劾訴追案は憲法裁判所によって棄却されています。この裁判では、弾劾案可決後に行なわれた選挙で廬大統領の所属政党が大勝したことを受けて、「弾劾理由であった廬大統領の選挙法違反」と「選挙によって国民の信任を得た大統領の権限を剥奪する」ことが秤(はかり)にかけられました。ある意味、立憲主義と民主主義のバランスを考えた上での判断だったといえるでしょう。

今回の朴大統領の罷免決定においては、そうした選挙がなかったこともあり、法的側面が一層重視され、韓国の憲法裁判所の歴史で最も重要な判決になりました。


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