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“過労死ライン”ギリギリならOK? 「上限を100時間未満」で苛酷残業にお墨付きを与える危険性

[2017年03月27日]

過労自殺とは仕事による過労・ストレスが原因になって自殺に至ること。ちなみに、このデータは労災の申請件数。実際に労災と認定されるのは半数以下だ。厚生労働省「過労死等に係る統計資料」より

昨年よりスタートした、アベノミクスの成長戦略「働き方改革」。その目玉として今月、決定したのが「残業時間に上限を設ける」だった。

しかし、その内容を検証してみると…経営者がいくらでも規制をスルーできる“抜け道”が次々と見つかった! これで「改革」を名乗れるのか!?

* * *

3月13日、政府は残業時間に上限を設ける方針を決定した。その内容は、

(1)月45時間を超えるのは年6ヵ月まで。
(2)1ヵ月の上限は100時間未満。
(3)2~6ヵ月の平均は80時間以内。
(4)1年の総時間は720時間以内。

というもの。これを破ると企業に罰則が科される。政府は3月末にも実行計画を取りまとめて、労働基準法改正案を国会に提出する予定だ。

これは、安倍首相肝煎(きもい)りの「働き方改革」で、初の成果といってもいいだろう。しかし、企業などで労働者の健康管理を担う産業医の大室(おおむろ)正志氏は、今回の上限規制について、こう話す。

「(2)と(3)の上限は、もう20時間ぐらい下げるべきだったと思います。経営側からは『理想論だ』と言われてしまうかもしれませんが」

大室氏がそう言うのも無理はない。なぜなら、過労死の労災認定基準(過労死ライン)は、「発症前1ヵ月に約100時間」「2~6ヵ月前に1ヵ月当たり約80時間」の残業となっているからだ。

では「100時間残業」のつらさとは? 労働問題に取り組む弁護士・佐々木亮氏はこう実例を示す。

「月に20日働くとして、1日5時間の残業。つまり、9時から18時勤務の人なら毎日夜11時まで働く。肉体、精神ともに大きな支障をきたす可能性が高いでしょう。

個人差はありますが、残業のしすぎで精神疾患になった人に聞くと、『細かいことを考えられなくなる』とよく言います。家に帰っても掃除する気力も起きない。休みの日はただ寝ていたい。当然ながら消費活動もしない。『それなら仕事を辞めればいい』と言われても、その発想自体がなくなってしまう。

さらにストレスがひどくなると、『逃げたい』『死にたい』『電車に飛び込もう』といった考えが頭をよぎり始める…100時間残業によって、人はそこまで追い込まれる可能性があるのです」


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