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3・11の遺族が体験した霊的な交流――4年をかけてまとめた“魂の物語”とは

[2017年03月28日]

「最初のうちは、よくある幽霊話ばかりでした。ところが、三回忌を過ぎた翌年の夏頃から、『そういえばこんな話があるよ』と、不思議な体験談が聞かれるようになったんです」と語る奥野修司氏

東日本大震災から丸6年。今なお、その爪痕は大きく、復興は順調に進んでいるとは言い難い状況が続いている。それは街並みや交通網など物理的なものだけでなく、震災で家族やパートナーを失った人々の心もまた同様だ。

そのためなのか、3・11では不思議と亡くした家族との邂逅(かいこう)ーーつまり、霊体験がいまだ多く伝えられているという。

『魂でもいいから、そばにいて 3・11後の霊体験を聞く』は大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家・奥野修司氏が、実に4年の歳月をかけて採録した、愛する人の“魂”とのコミュニケーションである。

* * *

―この題材に着目したきっかけが、宮城県で2千人以上をみとった医師の岡部健(たけし)氏(故人)の強い勧めであったことが冒頭でつづられています。岡部医師が奥野さんにこのテーマを求めたのは、なぜでしょうか。

奥野 在宅緩和医療のパイオニアでもある岡部先生は、「お迎え」現象について精力的に研究されている方でした。「お迎え」とは、死の間際に亡くなった家族などが現れる現象で、これまではせん妄や幻覚の類いとして片づけられてきましたが、そうではなく、普遍的な現象であるということを岡部先生は論文にまとめられています。

その岡部先生が、陸前高田市のある病院で聞いた話によると、亡くなる人の2割が「お迎え」を経験しているそうで、「震災で犠牲になった人の2割といえば、大変な数だ」と、調査の意義を私に促したのが始まりでした。

―これまで医療や社会問題を多く取材されてきた奥野さんとしては、異色のテーマですね。

奥野 最初は気が進まなかったんですよ。幽霊の話を取材するなんて、やっぱり怖いですからね(笑)。それに、再現性がなければ科学的とはいえませんし、ノンフィクションとして題材にしにくいです。それでも、岡部先生から懇意の大学教授や僧侶など様々な人を紹介されるうちに、断りにくくなってしまった、というのが取材を始めた本当のきっかけでした。

―ノンフィクション作家でも、やはり幽霊は怖い?

奥野 それはそうですよ。そもそも被災地では怪談のような幽霊譚(たん)が山ほどありました。客を乗せたタクシーが目的地へ向かったら、そこは津波で流された跡のさら地で、乗客もいつの間にか消えていた…とか。そういう話を聞いた後に夜道を歩くのは、いやなものです(笑)。


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