現役引退を発表した浅田真央(photo by Noto Sunao)

浅田真央が引退を表明した今、日本女子フィギュアに求められているのはエースの宮原知子(19歳)に追いつき追い越す勢いを若手が発揮することだろう。

平昌五輪プレシーズンだった今季、日本スケート界にとって大きな収穫だったのは、女子の若手の成長だろう。全日本選手権を3連覇している宮原よりさらに下の次代を担う10代が力を伸ばしているのだ。

今シーズンの成長株が若年性突発性多発性関節炎という難病を克服してリンクへ戻ってきた三原舞依(17歳)だ。2015-2016年シーズンにグランプリファイナル進出を果たす急成長。しかし、ファイナルでは関節炎に苦しみ、その影響もあって最下位の6位だった。階段を降りるのにも苦労するほどの痛みと戦っていたが、その病名が判明して1ヵ月間の入院。治療を受けながら今シーズン復帰していた。

三原はジャンプの安定度を磨き、今シーズンのグランプリシリーズで上位に食い込むと全日本選手権で3位。さらに、2月の四大陸選手権では自身初の合計200点超えを果たして優勝した。続く世界選手権ではSPで15位発進となったが、フリーでノーミスの演技を披露して5位まで順位を上げ、世界のトップで戦える実力を見せた。

世界ジュニア2年連続3位の実績を持つシニア1年目の樋口新葉(16歳)も全日本で宮原に次ぐ2位と勝負強さを見せた。四大陸では9位と悔しい結果だったが、初挑戦の世界選手権では持ち味のスピードを取り戻す演技で11位になり、手応えをつかんでシーズンを終えている。

さらに勢いを感じさせたのは女子ジュニアだった。その筆頭が昨季の世界ジュニアを制した本田真凜(15歳)だ。ジュニアグランプリと世界ジュニア優勝という目標を掲げた今シーズンは、ジュニアグランプリファイナルにおいて現地でインフルエンザを発症、欠場という苦しさも味わった。

それでも全日本選手権ではジュニア勢トップの4位となる底力を発揮。2度目の出場となった世界ジュニアでもアリーナ・ザギトワ(ロシア)に敗れるもショートプログラム(SP)、フリーともにノーミスの演技で2位。大舞台での勝負強さと来季のシニア参戦に向けて結果を残した。

最大のライバルであるロシア勢

世界ジュニア2位の本田真凜。日本女子フィギュアスケートは彼女以外にも伸び盛りの若手が多い(写真/ゲッティイメージ)

他にも、全日本ジュニアを初制覇した坂本花織(17歳)はジュニアグランプリファイナルで3位入賞。世界ジュニアでは「ファイナルではロシア勢との差の大きさを実感して悔しかった」という思いをバネにして自己最高得点を獲得し、ザギトワと本田に次ぐ3位に食い込んだ。

春先の骨折で出遅れた上に腰痛を抱えていた白岩優奈(15歳)も世界ジュニアで前年4位に次いで5位になり、日本女子の選手層は厚い。

そんな彼女たちにとって最大のライバルであるロシア勢だが、17歳にして世界選手権連覇を果たしたエフゲニア・メドベデワは世界歴代最高記録を233.41点に伸ばし、頭ひとつ抜け出ている存在だ。来季は世界ジュニアでノーミスの演技で208.60点を出したアリーナ・ザギトワもシニアへ上がってくる。

ロシア以外にも今年の世界選手権で2位のケイトリン・オズモンドと3位のガビブリエル・デールマン(ともにカナダ)らも力を伸ばしている。

2018年2月の平昌五輪へ向けて、浅田真央の後を継いでいく後輩たちが世界の頂点を目指していく。その戦いへの注目度はまだまだ上がっていきそうだ。

(取材・文/折山淑美)