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シリア内戦終結の「選択肢」を研究者が分析!「優先されるべきはシリア市民と難民」

[2017年04月28日]

シリア内戦による今後の情勢について語る内藤氏

昨年末に主要都市のアレッポが陥落して以来、ロシアの支援を受けたアサド大統領率いる政府軍の攻勢が続いていたシリア情勢――。

だが、4月4日、シリア北西部のイドリブ県南部で毒ガスのサリンと思われる化学兵器が使用され、アメリカはシリアの空軍基地を59発もの巡航ミサイルで攻撃。

こうした動きが今後の情勢にどのような影響を与えるのか? 中東研究者でシリア情勢に詳しい同志社大学の内藤正典(ないとう・まさのり)教授に聞いた。

* * *

─シリアで化学兵器が使われ、子供たちを含む多くの一般市民が被害を受けたことでアサド政権は世界から強い批判を受けています。しかし、公然と都市部への爆撃に使用すれば、批判を受けることは明らかで、しかも「後ろ盾」であるロシアの体面を潰す化学兵器の使用に、なぜアサド政権は踏み切ったのか? そもそも、今回の化学兵器の使用は本当に「シリア政府軍」によるものなのでしょうか?

内藤 アサド政権関係者や一部の人たちが「アサド政権に対する国際世論の批判を狙った、反体制派の自作自演ではないか」と主張していますが、私は今回の化学兵器使用がシリア政府軍によるものだと考えています。第一の理由は長年、シリア国民を「恐怖」によって統治してきた独裁者のバッシャール・アサド大統領がある意味、北朝鮮の金正恩と同じで「嘘をつくこと」になんの躊躇(ちゅうちょ)もない人物だからです。

そうした人間にとっては、国際世論からどんな批判を受けようと、どんな証拠を突きつけられても「私はやっていない」と否定し続けることで済んでしまうし、むしろ、その嘘を貫き続けなければ、自分の身を守ることができない。中途半端に妥協すれば、その先には裁判にもかけられずリンチに近い状態で惨殺されたリビアのカダフィ大統領のような悲惨な末路が待っている。そのことをアサド大統領はよくわかっている。

化学兵器の使用も「否定し続ければ済む」話ですから「恐怖」でしかシリアを統治できなくなった彼にとっては、内戦を有利に展開するための選択肢のひとつでしかない。私はシリア留学時代にアサド一族による「恐怖による統治」の実態を自分の目で見て、経験したことがあるだけに、常識で考えればあり得ない化学兵器の使用に踏み切ったとしても驚きません。

第二の理由は、今回の化学兵器使用について、アメリカよりも早く「シリア政府軍によるもの」という情報を伝えていたのが「イスラエルの情報機関筋」だったという点です。シリアとイスラエルは元々「敵対関係」にあると思っている人が多いでしょうが、中東諸国の中で見ると関係は比較的悪くない。

そのイスラエルの情報機関がアメリカよりも早く「アサド政権の仕業」と指摘したのですから、彼らがそれなりに確度の高い内部情報を得ていたと考えていい。また「化学兵器」「毒ガス」の使用という、ユダヤ人国家のイスラエルにとっては非常にセンシティブな要素があったことも、シリアに対する強い態度に影響していると思います。


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