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アメリカによる北朝鮮“空爆”や先制攻撃が「現実的には起こりえない」理由

[2017年05月18日]

紛争解決請負人・伊勢崎賢治氏(右)と中東研究者・内藤正典氏が緊急解説!

中東で、そして朝鮮半島で、かつてないほどに緊張が高まっている。

化学兵器を市民に向けて使用した(とされる)シリアに巡航ミサイル59発を放ち、核弾頭を搭載したICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を進める北朝鮮に対しては「あらゆる選択肢を排除しない」と強硬姿勢をアピールした、アメリカのトランプ政権。

北朝鮮側も「アメリカが攻撃するなら、核戦争も辞さない」と徹底抗戦の態度を示すなど、「挑発合戦」は日増しにエスカレートするばかりだ。

この先、シリアや朝鮮半島でアメリカがさらなる軍事行動に出る可能性はあるのか? そして北朝鮮とシリアが、核兵器や化学兵器を用いて「暴発」する危険性は本当にないのか?  前編では、シリア問題を同志社大学大学院の内藤正典教授に分析してもらったが、今回は北朝鮮情勢について紛争解決請負人・伊勢崎賢治氏が解説する!

■軍部の誰かが勝手に「忖度」

一方、緊迫する北朝鮮情勢はどうだろう。2ヵ月に及ぶ米韓合同軍事演習では北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)殺害を目的とした訓練が行なわれ、急遽、米原子力空母「カールビンソン」を西太平洋に展開するなど、トランプ大統領をはじめアメリカの政府首脳は連日のように「有事の可能性」をアピールしている。

平和構築学が専門で“紛争解決請負人”の異名を取る、東京外国語大学の伊勢崎賢治教授は次のように分析する。

「一連の動きは、北朝鮮を仮想敵国としたアメリカ軍による壮大なデモンストレーションにすぎません。北朝鮮に対しての本格的な空爆や地上軍による先制攻撃など、現実的には起こりえません」

それはどうしてか?

「今回のシリアに対するアメリカのミサイル攻撃は、事前にロシア側に通告した上で行なっていて、軍事的には大した意味のない作戦であり、シリアや北朝鮮への単なる警告でしかありません。

今、北朝鮮に関してアメリカがやっていることも本質的にはそれと同じことです。アメリカが本気で先制攻撃を行なえば、米韓軍はもちろん、韓国の一般市民にも少なからぬ犠牲者が出るのは間違いない。もちろん、日本に被害が及ぶ可能性だってあります。

しかし、アメリカが本当に北朝鮮に対して先制攻撃を仕掛ける気があるのなら、韓国内に住む米国人の退避をとっくに始めているはず。

最近、毎日のように有事の危機がメディアで報じられていますが、この『大仕掛けのショー』の目的は、従来の『中国脅威論』に代わる『北朝鮮脅威論』を、アメリカだけでなく同盟国の日本や韓国の国民にも強く印象づけ、日米韓の関係を強めるための『セキュリタイゼーション』だと、私には映ります」


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