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文在寅大統領誕生で未来ある日韓関係が?「慰安婦問題の合意“見直し”は白紙に戻すことではない」

[2017年05月18日]

また、同じく青瓦台の人事で言えば、民政主席秘書官にソウル大学法学専門大学院のチョ・グク教授を任命したことも国民の期待を高めました。新大統領は、これまでの大統領による汚職の背景となってきた検察の改革を大きなテーマとして掲げており、民政主席秘書官はその改革の中心を担う重要なポストです。

チョ教授はソウル大学に16歳で飛び級入学を果たし、26歳当時、最年少で蔚山(ウルサン)大学の教員職に就いたエリートとして知られている一方で、同大学に就職した翌年に社会主義を信奉する団体を助けたとして国家保安法で拘束された経験を持つ社会参加型の刑法学者でもあります。彼と新大統領を結びつけているのは「検察改革」という共通の志だけなのです。

─日本だと、そういう学者肌のクリーンな人物を権力機構のトップに据えてもうまくいかないことが多い。官僚たちの反発に遭い、組織が機能不全に陥るからですが、大統領制の韓国では新人事の後ろ盾となる力が大きい分、日本とは違う結果になるかもしれませんね。ところで、日本人として気になるのは、新大統領が公約として日韓合意の「見直し」を掲げている点です。

 この「見直し」に関しては、日本で誤解されているように思います。これは、2015年の末に安倍首相と朴前大統領との間で交わされた慰安婦問題に関する合意を白紙に戻すという意味ではありません。

韓国国内では朴前大統領に対する不信感が非常に強く、実際に彼女が交わした日韓合意に関しても、その交渉の経緯も含めて不透明な部分が多く指摘されています。そういったブラックボックス化していた交渉過程を一度すべてオープンにして、そこから新たな国民の合意を得ようというのが「見直し」の真意です。

両国のトップ同士が交わした合意はもちろん非常に重い約束ですが、朴大統領時代への不信から韓国国民の多くが納得できないままでいるよりも「見直し」によって韓国国民から真の理解を得たほうが、両国の未来に貢献できると見方を変えることも有効な一手です。

また、やはり人事の話ですが、新大統領は韓国で「知日派」といわれる人たちを多く政権に入れています。首相に指名された李洛淵(イ・ナギョン)全羅南道前知事は、かつて新聞社の特派員として日本で5年間を過ごし、流暢(りゅうちょう)な日本語を話すことでも知られた日韓議員連盟の元副会長です。

これも慰安婦合意の「見直し」が日韓両国の未来につながっていくことを意図した新大統領なりのバランス感覚だと私は見ています。この「見直し」の真意については、その背景を含めて日本の国民に理解していただきたいと思いますし、韓国としても誠意のある説明を重ねていく必要があると考えています。

(取材・文/田中茂朗)

●金惠京(キム・ヘギョン)
国際法学者。韓国・ソウル出身。高校卒業後、日本に留学。明治大学卒業後、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科で博士号を取得。ジョージ・ワシントン大学総合科学部専任講師、ハワイ大学韓国研究センター客員教授、明治大学法学部助教を経て、2015年から日本大学総合科学研究所准教授。著書に『涙と花札-韓流と日流のあいだで』(新潮社)『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』(集英社インターナショナル)、『無差別テロ 国際社会はどう対処すればよいか』(岩波現代全書)などがある


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