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辻 仁成が新作『父 Mon Pere』で描く父子の物語 「小説なので、現実に僕らに起きたこととは無関係ですけど…」

[2017年05月19日]

一番モチベーションが高いのは息子のことだと語る新作小説『父 Mon Pere』の作者・辻 仁成

芥川賞作家、ミュージシャン、映画監督、演出家…など様々な顔を持つ辻 仁成――。その新作小説『父 Mon Pere』(集英社)はフランス・パリに住む日本人の父子の物語を息子視点で描いた作品だ。

パリで生まれた「ぼく」は、「パパ」の男手ひとつで育てられた。大人になり語学学校の教師として働いているが、70歳を過ぎたパパに健忘症の症状が出はじめ、街で迷子になった場所から「すまないが迎えに来てくれないか?」と電話が入る日々…。

異国で暮らし続ける老いた父と、その面倒を見る息子の間には複雑な過去のドラマがある。ぼくの中国系の彼女とその家族、やはり移民のメイド一家までを運命は巻き込み…。

「パリで息子とふたり暮らし」という自身の境遇とも重なり、必然的に紡がれた大切な一作。5月20日には原作小説を監督として映画化した『TOKYOデシベル』も公開されるが、常に意欲的に挑戦し続ける創作者・辻 仁成の“今”と生き様にロングインタビューで迫った。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)。

* * *

―まずは今回、“父と息子の物語”という題材で書こうと思われたきっかけから教えてください。

 小説家っていうのは、自分の周りに題材を探すんですけど、僕にとって今、一番モチベーションが高いのは息子のことなんですよ。この『父 Mon Pere』という作品では、父親がパリで生まれ育った息子と暮らしていて、周りに親戚もいない。息子自身は「そこで生まれたかったわけじゃない」という気持ちがあって、その責任を感じている父親がいる。そんなふたりを書くのが今の自分の大切な仕事だろうと思ったんです。

―実際、ご自身もパリで13歳の息子さんとふたり暮らしされているということで、やはり重ねてしまいます。

 (笑)ただ、そのまま自分たちのことを書くわけじゃありませんよ。小説ですから。今のことを書くとリアルなので、作品では「20年後の世界」にしたわけです。これは小説だからできるトリックなんですけど、20年後の自分たちがどんなふうになっているのか知りたいと最初思って。自分自身への予言のようなものですか。

まあ、パリに住み始めて15年目で、20年後なんて生きてるかどうかさえもわかんないんですけど。もう57歳だから、20年後は77か…想像するに「我が強くて頑固で、イヤなオヤジになってるんだろうなぁ」(笑)。

―どんなガンコ親父になってるかと?(笑) 息子さんについて書くということでは、2016年にもTwitterでつぶやいたメッセージをまとめた『息子に贈ることば』を出されていますよね。

 あれは文藝春秋さんがツイートをまとめてくださったもので、小説ではありません。でも、ずっと小説を書きたかった。パリを舞台に父子の物語を。今度公開される『TOKYOデシベル』は東京を舞台にした映画で、『父 Mon Pere』はパリを舞台にした小説。パリと東京、僕にとっては両方大事な都市なんです。

『TOKYOデシベル』は東京の人しか出てこない東京の話で、最初に「今、外国に住んでいる自分が東京を映画にしたらきっと日本人が知らないカッコいい東京を描けるだろうな」ってことで作り始めたんです。その一方で、自分のパリでの実生活を書くことも今、必要なんじゃないかなと。基本的に僕は“私小説”でスタートした作家ですから。小説のタイトルは『息子』でもよかったんだけど、それだと普通なので、逆手をとって『父』にしてね(笑)。

―作品中では“息子”として登場する「ぼく」は真面目で大人しい青年という印象ですが、実際に息子さんはどんな性格なんですか?

 すごく真面目でね。いいやつ。僕がこんな風に変わり者で、そんな親が心配だからこそ、子供は真面目にならざるをえない(笑)。

この間、フランス人のカメラマンに「キミはとっても変わってるから、息子くんも大変だよな」とからかわれたんだけど。確かに、僕は相当頑固で偏屈だし、自分の思うところにしか向かわない人間で、そういうのを一番見てきている子供なんでね。そんな父親がおじいちゃんになったら?と思いついたんですよ。頑固ジジイになった自分を想像しながら書くのはとっても面白い経験でした。

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