国道16号線には実験店舗や新感覚な店が続々オープン!

首都圏のベッドタウンを環状に結ぶ国道16号線―。

昔からこの沿線は新店が次々できては全国へと広がることから「日本の縮図」と呼ばれるが、新感覚な店舗が現在進行形で増加中だ。

そんな国道の今を見れば、日本の近い未来も見えてくる!

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一般国道16号。神奈川県相模原市、東京都八王子市、埼玉県川越市にさいたま市、千葉県柏市や千葉市など、都心部から40㎞ほど離れたベッドタウンを結ぶこの道路に今、新しいスタイル、面白いコンセプトの店が続々オープンしている。

だが、そのような店が16号沿いにできるのはなぜなのか。16号沿いの街の動向を30年以上見続け、16号に関する著書もある経済評論家の西村晃氏に話を伺った。

「そもそも国道16号沿いは、昭和20年代前半生まれの、いわゆる団塊の世代がマイホームを建てて暮らす街。子供を育てながら生活する『ごく普通』の家族がたくさん住んでいます。そんな『日本の縮図』ともいえるこの地域は30年以上前から、実験的な店舗を出すのに適したエリアで、私は『消費の標本空間』と名づけてきました」

1970年代にベトナム戦争が終わると、横須賀、相模原など、16号が通る街で米軍基地関連施設が続々返還された。時代は団塊の世代が全国から首都圏に移り住み、住宅不足が深刻化していた頃。そこで、都心から1時間程度で通える16号エリアの宅地開発が進み、基地返還による空白地はニュータウンの核となった。そこに分譲住宅が次々と建設され、若い家族が住むようになった。

「団塊の世代は、それまでの日本人とは異なる生活スタイルでした。今では当たり前ですが、ひとつ屋根の下に暮らす家族が夫婦と子供だけという、いわゆる『ニューファミリー』は、当時は新しいものでした。家族の人数が少ないので、気軽に外食にも出かけられます。そこで、手軽に食事ができるファミリーレストランは16号沿いに集中立地されたのです」

以降、現在に至るまで、外食産業や小売業などのファミリーをターゲットとする企業の間では『まずは16号沿いに店を出せ。ここで成功したら、全国展開しても大丈夫』というのが定説となった。

「当時の成功例として、商品を分割払いで購入できる新しい買い物のスタイルを提案した『マルイ』も、町田、大宮、柏などの16号沿いに集中展開しました。釣具店の常識を破る大型店『上州屋』も16号に目をつけた企業のひとつです」

『週刊プレイボーイ』23号「国道16号線に日本の近未来が誕生中!!」では東京・神奈川・埼玉・千葉エリアに続々とオープンする新感覚な店をご紹介。こちらもお読みください!

(取材・文/渡辺雅史、高山恵[リーゼント])