『週刊プレイボーイ』24号では水着姿まで披露! 新たな挑戦を続ける宝城カイリ

若手が台頭してきた女子プロレス界――。その中でも男女問わず、現在もっとも人気が高いといっても過言ではないのが宝城カイリ(ほうじょう・かいり)選手だ。

紫雷イオ、岩谷麻優と並び、所属するスターダムの看板選手として活躍してきたが、先日、そのスターダムを退団することが発表され、さらにはアメリカ行きの噂も!? 

そんな中、発売中の『週刊プレイボーイ』24号に初登場し、水着姿まで披露! ますます目が離せない彼女に、これまでの山あり谷ありのプロレスラー人生を振り返ってもらうとともに今後の展望を直撃!

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―女優からスカウトされてレスラーとなられましたが、まずはスターダムでの5年間を振り返っていかがでしょう?

宝城 本当に偶然が重なって今の自分がいると思います。5年前にはプロレスや格闘技を観たことも、もちろんやったこともなかった。始めた当初も人より覚えは悪いしケガばかりで、プロテストも同期5人のうち私だけ追試で、本当に底辺からのスタートでした。

―それが今やメインを張れる選手に。厳しい道程だったのでは?

宝城 もう根性ですね(笑)! (紫雷)イオさんみたいにすごい動きができるわけじゃないし、(岩谷)麻優さんみたいにすごく受け身が巧いわけでもない中で、自分の武器は気持ちだけというか、感情を爆発させて自分をさらけ出すことなのかなって。

―そのふたりと“スターダム3人娘”とまで呼ばれる看板選手になり、ライバルとしての意識は?

宝城 していた時期もありますけど、3人とも個性がバラバラだったからよかったなって。タイプが違うからこそお互いが輝けるし、それぞれ自分のよさを高めることを意識してたんじゃないかな。

―最近は新しいお客さんも増えてきているそうですね。

宝城 増えてますね。ももいろクローバーZさんとコラボした時に知ってくれた方が来てくれたり、家族連れとかご夫婦で来てくれたりするのも多くて、すごく嬉しいですね!

―いつも全力なスタイルが男性だけでなく女性からも支持されていますが、その不屈な前向きさはいつ培われたのでしょう?

宝城 高校でヨットを始めてからですね。7年間続けたんですけど、コーチがすごく厳しい人で朝から晩まで練習だったし、海なので危険も多いんですよ。沖で練習するのでサメもいるし、雷が横に落ちたり、ヨットの下敷きになってロープが絡まったり…。技術もホントに底辺からのスタートで、1、2年の時は予選すら通らなかった。でも3年でいきなりインターハイ準優勝になったりして。

そういう経験を積んだから、必死に諦めずにやり続ければいつか結果は出るし、なんでも乗り越えられるという自信になって、今があるのかなって思います。

―その経験を人に伝えたいという思いがある?

宝城 一番はそれですね。できなかったからこそ、できないコの気持ちがわかるんです。こんな自分でもここまで来られたからみんなは絶対できるって、背中を押してあげたいですね。

昔の映像を観るのは恥ずかしくてツライです!

―印象に残っているのは2015年3月に赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を獲得した試合とのことですが、団体としては選手の大量離脱があった時期ですね。

宝城 もう潰れるんじゃないかと言われたり、残った選手も士気が下がりがちだった時期に、そのベルトのトーナメントが行なわれることになって。選手離脱のきっかけになった事件があるのですが、そこでケガをした安川惡斗とは同期だったので「私がやるしかない」という気持ちになったんです。それまでは、赤いベルトってまさか自分が絡むとは思えない遠い存在だったんですけど、その時に考え方が変わって。

―実際にベルトを獲得してどう感じましたか?

宝城 嬉しいというより、やり切ったって気持ちでした。赤いベルトを獲ったことで、それまでやったこともなかったメインイベントを5回連続で任されて…。まだまだ発展途上の自分にできることは何かを考えた時、誰よりも練習しようって決めて、ボロボロになってもカッコ悪くてもいいから、がむしゃらにやろうっていう思いで試合していましたね。

―求められることが急に変わり、ジレンマを抱えているようにも見えました。

宝城 もう反省ばっかりです。うまくいかないこともいっぱいあったし心身ともに崩れそうでしたけど、周りの仲間たちやサポートしてくれる人、ファンの皆さんが後押ししてくださったから、乗り越えられたんじゃないかと。ダメな時もずっと応援していただいたので、結果で恩返ししたいという思いが一番大きかったですね。

―とはいえ、辞めたくなった瞬間もあったのでは?

宝城 ありますね。デビューしてからずっと空回りしていると言われていたし、必死すぎて視野が狭くなっていて、試合の状況もわからず突進してすぐ負けちゃったりとか(苦笑)。もう本当に昔の映像を観るのは恥ずかしくてツライです! あと、ケガした時とか縫った時は、鏡で傷跡を見て落ち込んだり…。

―脳震盪を起こしたこともありましたね…。

宝城 最初の2年間ぐらいはケガばかりしてましたね。両耳の鼓膜が破れたり顎が外れたり、顔もすごく腫れたり…。キツかったです、あの時期は。試合が憂鬱で楽しくなかったですもん。

―壮絶ですね…。それでも続けているのはなぜ?

宝城 一度決めたら辞めたくないという気持ちかな。カッコ悪い姿をさらけ出すのはいいけど、途中で辞めるようなカッコ悪さはイヤだから。あとやっぱりプロレスが楽しいんですよね。今は試合をどうやって盛り上げようかとか、どうやって後輩を伸ばそうかとか、そういうことを考えるだけでワクワクします。

心を掴むことでは一番になりたい

―先日、スターダム退団が発表され、今後はアメリカに行くという噂もありますね。

宝城 まだお話できないことも多いですけど、今年はもう29歳で自分のファイトスタイル的にもあと何年できるかわからないし。引退も考える中で決めたことです。今は後輩たちもすごく頑張っているし、5年間スターダムに本当に力を注いできたので、新しい環境でゼロから修行をしたいと思っています。どこまで通用するかはわからないけど、やらずに後悔するよりは飛び込んでいこうと!

―プロレスをできる時期は限られているという意識があるんですね。

宝城 そうですね。パっと咲いてパっと散りたいっていう感じですかね。

―紫雷イオ選手にもアメリカ行きの噂があり憶測を呼んでいますが、仲間でありライバルという不思議な関係ですね。

宝城 不思議な関係ですね! イオさんとは一番苦しい時に一緒にいて、冷静だし頼りになるし、自分がテンパってる時も「落ち着いて」って声をかけてくれる先輩で、人としてもレスラーとしても尊敬しています。

―そうは言っても、“スターダムのエース”を越えたい気持ちもあるのでは?

宝城 ありますね。越えられない部分はあるし同じことはできないけど、心を掴むことでは一番になりたい。例えば、試合を観てもらって「泣いた」とか「頑張ろうと思った」とか、心に響く試合という意味では絶対ナンバーワンになりたいですね!

―将来の夢は「一流のエンターテイナー」とのことですが、その中のひとつであるプロレスについての思いを教えてください。

宝城 始める前はまさかこんなものとは全く思ってなくて、驚愕でしたね(笑)。でも、すごい人生勉強になってます。強いだけではダメで、コミュニケーション能力もマイクアピールも大事だし、プロレスってすごくいろんな要素があって深いので、まだまだ知らないことがほとんど。

見せ方も強さも極めたいし、海外で一流のエンターテインメントを学びたい。今はいろいろ知りたいという気持ちだけですね。

―では最後に、これから女子プロレスを観てみたいという人にひと言!

宝城 プロレスを観たことのない人はいろんなイメージがあると思うけど、百聞は一見にしかず! 生で試合を観たら絶対に楽しんでもらえる自信はあるので、まずは足を運んでもらいたいですね。

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(取材・文/明知真理子 撮影/LUCKMAN)

●宝城カイリ(ほうじょう・かいり) 1988年9月23日生まれ(28歳) 山口県出身 身長155cm 得意技=ダイビング・エルボードロップ 女優を経てプロレス界入りし、現在の女子プロ界を代表するスターの一人。Twitter【@kairi_hojo】