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プロ野球・12球団ファンクラブ評論家が語る「緊張と弛緩がヤクルトスワローズ史の面白さ」

[2017年06月01日]

東京ヤクルトスワローズ。その独特のチームカラーの正体を掘り下げた長谷川晶一氏の『いつも、気づけば神宮に~東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』

明るく、家族的なことから「ファミリー球団」ともいわれる東京ヤクルトスワローズ。その独特のチームカラーの正体を掘り下げた単行本『いつも、気づけば神宮に~東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社刊)がこのほど発売された。

多数のレジェンドOB、現役選手、首脳陣らを取材した著者の長谷川晶一(しょういち)氏が、前編に続き、とっておきの取材秘話を明かす。

■『一勝二敗の勝者論』で関根潤三を問いただす!?

―かつてスワローズは万年Bクラスの弱小球団でした。チームに蔓延(まんえん)しがちな負けグセの正体を当事者たちが証言する「負けグセの系譜」は、読み応えがありました。

長谷川 後に巨人、阪神でもプレーした広澤克実さん、現役時代、チームの「ぬるま湯体質」に常に危機感を抱いていた宮本慎也さん、そして80年代後半の暗黒期に監督を務めた関根潤三さん。彼らの三者三様の指摘は、スワローズに蔓延しがちな負けグセの正体を見事にあぶり出してくれたと思います。

―特に関根さんの発言は、そのひとつひとつに、とても味わい深いものがありました。

長谷川 実は関根さんは90年に『一勝二敗の勝者論』という、なんとも微妙なタイトルの本を出版されているんですが(苦笑)、当時の僕は、この本に対してかなり懐疑的な思いを抱いていました。

何しろ本の帯に堂々と「負けて、勝つ」とか「一勝二敗に耐えられる人が、真の勝者である」などと書かれていたので、僕は「何、寝言を言ってんだ!」と憤慨していたんです。指揮官自ら、借金1でいいと考えていたら、いつまでたっても優勝できないじゃないかと。この本こそ、当時の負けグセを象徴する悪書だと思っていました(笑)。

―そんな本を出版された意図を、20年以上たってからご本人に問いただされたと(笑)。

長谷川 だけど、出だしで思いきりズッコケました。開口一番、関根さんは「何これ? この本、僕が書いたの?」ですからね(笑)。

―確かに関根さんが書かれた本なんですよね?

長谷川 ええ。でも、本のタイトルを見て「何、バカなこと言ってるんだよ。1勝2敗で勝者であるはずがない!」と、30年近く前の自著に対して、軽く憤慨されてました(笑)。でもその後、関根さんがどんな思いで監督を務めていたのかを聞いていくと、その勝負への執着心や選手への温かいまなざしに、僕は一気に関根ファンになってしまいました。

別れ際まで「勝負事は、やっぱ勝たなきゃいけない。負けて勝つなんてとんでもねぇ話だ!」とおっしゃっていて、本当にカッコよかったです。あの関根さんの時代があったからこそ、次の野村克也監督による黄金時代が訪れたのだと確信しました。

「負けて、勝つ」を主題にした書籍を出版するなど、著者に“低迷スワローズの象徴”と目されていた関根潤三元監督。だが、ご本人から思いもよらぬ勝負哲学を披露されることに

「負けて、勝つ」を主題にした書籍を出版するなど、著者に“低迷スワローズの象徴”と目されていた関根潤三元監督。だが、ご本人から思いもよらぬ勝負哲学を披露されることに


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