試合は最初から激しいプレスのかけ合いになるはずと語るセルジオ越後氏

千秋楽の横綱決戦だね。欧州のシーズンもいよいよクライマックス。今週末(現地時間6月3日、カーディフ)、欧州チャンピオンズリーグ(CL)の決勝、レアル・マドリード(スペイン)vsユベントス(イタリア)が行なわれる。

CL最多11回の優勝を誇り、史上初の連覇を狙うレアルは、ここ4年で3度目の決勝進出。スペインリーグでも宿敵バルセロナを振り切り、33度目の優勝を果たした。

一方のユベントスも、今季のセリエAで圧倒的な強さを見せて6連覇、同じく33度目の優勝を達成。また、CLではグループリーグから準決勝まで無敗、12試合でわずかに3失点と完璧な形で勝ち上がってきた。2年前のCLでは決勝でバルセロナに完敗。でも、今季は準々決勝でそのバルセロナを一蹴するなど、当時とはまったく違うチームになっている。レアルにも引けを取らないね。

試合展開については、攻めのレアル、守りのユベントスという構図で語られることが多い。実際、レアルの売りは破壊力のある攻撃陣。エースのクリスティアーノ・ロナウドは相変わらず得点を決めまくっているし、FWベンゼマ、左サイドバックのマルセロとの抜群の連係も大きな武器だ。

ただ、ユベントスは決して守り一辺倒のチームじゃない。今季バルセロナから加わった右サイドバックのダニエウ・アウベスが絶好調で、彼とその前にいるFWディバラのふたりが右サイドから仕掛けて、エースのイグアインが決めるパターンは迫力十分。わかっていてもなかなか止められない。

試合は最初から激しいプレスのかけ合いになるはず。ロナウド、マルセロのいるレアルの左サイドと、ダニエウ・アウべス、ディバラのいるユベントスの右サイド、対面するどちらが主導権を握るかが見ものだね。

勝敗予想は難しい。ただ、ありきたりな見方になって申し訳ないんだけど、やっぱりロナウドがいる分だけレアルが少し有利だと思う。それだけ彼の決定力の高さはずぬけている。右足、左足、ヘディング、セットプレーとどんな形でも点を取れる。技術だけじゃなく、高い身体能力、相手DFとの駆け引きのうまさ、そして泥くささを持ち合わせている。

若い頃は相手の挑発にイライラすることが多かったけど、30歳を過ぎてからはそういうことも少なくなった。クラブでも代表でも圧倒的な結果を残してきたし、間違いなく歴史に名前を残すスーパースターだ。

他国のリーグや大会に関心を持つことはないブラジル人も…

サッカーに関しては、どの国よりもプライドの高いブラジル人も、彼のことは本当にリスペクトしているからね。毎試合当たり前のように活躍しているから新鮮味はないかもしれないけど、サッカーファンなら、彼のプレーをしっかりと見ておくべきだと思う。

ちなみに普段、ブラジル人は他国のリーグや大会に関心を持つことはほとんどない。興味があるのは自分が応援しているチームか代表チームだけ。でも、CL決勝は別なんだ。みんな昼間からスポーツバーみたいな場所に集まって盛り上がる。

レアルにもユベントスにもブラジル人選手がいるけど、彼らを応援するのではなく、中立の立場から世界トップレベルのサッカーをじっくりと味わう感じ。そういう楽しみ方ができるのがCLの魅力でもあるし、日本のファンもぜひ早起きして決戦の行方を見届けてほしいね。それだけの価値はあると思うよ。

(構成/渡辺達也)