県知事に就任して7ヵ月がたった。具体的な政策の実現に向けて豊富な民間経験をもつ知事の手腕に期待がかかる

新潟県知事に当選した米山隆一(よねやま・りゅういち)氏は、東京大学医学部卒業後、医者、弁護士を経て、国政選挙で4度の落選という異色の経歴の持ち主だ。

柏崎刈羽原発を抱える新潟の県知事として、その動向に注目が集まる米山知事を、軍事ジャーナリストの小峯隆生氏(こみね・たかお)前編記事に続き、直撃インタビュー。

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小峯 米山知事はこれまで、国政選挙に4回落選してきました。何度も落選するなかでどうやってモチベーションをキープされたのですか?

米山 僕は社会の仕組みとか、何か大きなものを変えたいと思う人間なんです。だから、医者でも弁護士でもなく、政治家という仕事が好きなんです。落選すると、人格全部を否定されたような気持ちになって落ち込みますが、それでもやはり政治をやりたいという消しえぬ炎みたいなものが自然と湧いてくるんですよ。

モチベーションを保つ最大のものは、やはり、こうした自然に湧いてきて、しかも消すことができない“好き”という気持ちではないかと思います。

小峯 好きこそモノの上手なれですね。でも、そこまで自分の人生をかけて打ち込めるものって、どうやって見つければいいんでしょうか?

米山 それは地道に探すしかないと思います。僕なんかは、迷って医者になったり、弁護士になったりして、なかなか政治家にならなかった。でも迷ってやっと見つけた政治家という仕事だからこそ、本気で打ち込めるんです。

小峯 医者や弁護士になれるだけでも、十分すごいと思いますが(笑)。

米山 いやいや、迷っていただけです(笑)。そして、もうひとつ大切なのは、自分がどんな状態でも意識はプロであれということなんです。

たとえ落選して、政治家として働けない状態であっても、心だけはプロの政治家でいること。成し遂げたいことがあるなら、常に自分の能力を最大まで高めておく努力を怠ってはいけません。

おいしいご飯ときれいなお姉さんが大切

小峯 失敗していてもプロであれと。いい言葉だなあ。

米山 チャンスはいつ巡ってくるかわかりませんし、プロとしての能力を高めておけば、目標達成のために次にどうトライすればいいのか見極められますしね。

最後に、周りには冗談のように話していますが、モチベーションの維持にはやはり、おいしいご飯ときれいなお姉さんが大切です。

小峯 というと?(笑)

米山 実は僕、落選したあと、きれいなお姉さんたちと合コンに行ったんですよ。そのとき、こんなきれいなお姉さんに相手をしてもらうには、もっと頑張らなくてはいけない、とトライする意欲が湧いてきました。

やはり、煩悩を持って人生を楽しむことも大切なんだと思います。でないと、落ち込んだ状態から元に戻れないですから。

小峯 それは、自分も大賛成です。やっぱり合コンは大切ですね(笑)。

●米山隆一(よねやま・りゅういち)1967年9月8日生まれ。国政選挙で4度の落選を経験しながら、無所属で立候補した2016年の新潟県知事選で当選。原発問題の解決や人口減少対策などの政策を掲げ、県民の生活に密着した政治を目指す

●小峯隆生(こみね・たかお)筑波大学非常勤講師。世界各国の軍事兵器、軍事作戦、スパイ行動に精通する。著書に『新軍事学入門』(飛鳥新社)などがある

(インタビュー/小峯隆生 撮影/五十嵐和博)