カールの歯触り、香り、甘み、忘れられません

製菓大手の明治が、スナック菓子「カール」(1968年発売)のブランド縮小を発表した。

スナック菓子市場におけるポテト菓子の優位が続いていることで収益性が悪化したことなどを理由として挙げ、8月の生産終了後は西日本限定で販売されることとなる。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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私は確か、カールの工場に行ったことがあります。朝の番組の中継で、まだ焼く前の練り生地がニューと出てくるところを見た記憶があります。日本の技術の粋を集めたカールマシンは、ちゃんと生地がいい具合にカールして出てくるように精緻な工夫がしてありました。

思えば人生で何度、十指にカールをはめて遊んだことでしょう。あの歯触り、香り、甘み、忘れられません。

それが嗚呼(ああ)、西日本限定になるなんて。売り上げの伸び悩みを受けやむをえない決定だったようです。食べるときに指に味がつくのを若者が嫌ったという説もありますが、確かに近年はカールスティックという、もはやカールではない展開を見せていたのも致し方なかったのかも。

今後は愛媛の松山工場に生産を集中させて西日本のみでの展開にするということですが、これからは「西方土産はカール」みたいなことになりそうでそれはそれで楽しみです。ご当地色の強化も望みたいですね。京都の白味噌味、宮崎の冷や汁味、高知のカツオ味など…カールおじさんに地元の衣装を着せたご当地キティ的な展開も期待したいところです。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。息子たちもカールが好物なので、時々オーストラリアに買っていく。幼い子供がカールやとんがりコーンを指にはめているさまは実に愛らしく、今となっては懐かしい。現在は中3と小6