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テロ多発で『人権より安全』になってしまった“世界最先端の監視社会”イギリスから見た日本の共謀罪

[2017年06月15日]

「日本では監視活動についてマイナスイメージが強いが、いいか悪いかではなく、どう利用するかを考えることが重要」と語るティム・ケリー氏

日本の国会で「共謀罪」法案が審議される最中、イギリスでは5月22日にマンチェスターで、6月3日にはロンドンでテロ事件が立て続けに発生した。

共謀罪は「テロ集団」の定義があいまいで、市民の自由やプライバシーが制限されると懸念されているが、世界最先端の「監視社会」と言われるイギリスの現状はどうなのか?

「週プレ外国人記者クラブ」第80回は、イギリス・マンチェスター出身で「ロイター通信」記者のティム・ケリー氏に話を聞いた――。

***

―イギリスのテロ対策の現状はどうなっていますか?

ケリー イギリスでは、2005年にロンドンの地下鉄やバスで同時爆破テロ事件があったことで、それまであったテロリズム法を補う新法が2006年に制定されました。この法律では、テロリズムを助長したり賞讃したりする行為も犯罪として取り締まることができます。また、共謀罪はイギリスにもあり、今回、マンチェスターとロンドンで起こったテロ事件でも容疑者が複数人いたため、多くの市民がその必要性を再認識しています。

―その成果として、イギリスは過去4年間で13件のテロを未然に防いだと言われていますが、3月にもロンドンでテロ事件があり、今年だけで3件発生しています。

ケリー 今回のテロによって、監視をさらに厳重にするかどうか、議論されています。6月のロンドンの事件は国際テロと言われていますが、実際は「国内テロ」です。容疑者は子供の頃からイギリスで生活していた人でした。差別や孤立が原因で若者が過激派思想に走ることを防ぐ教育プログラムが必要だと強調する人もいます。

イギリスのテロリズム法は実際、日本よりも厳しいといえるでしょう。例えば、アンジェム・チョードリーというイスラム過激派指導者が逮捕された事件がありました。彼は9.11テロ事件を賞賛し、イスラム教以外の人は殺害してもいい等と発言し、“ヘイト・プリーチャー”(憎しみの説教師)と呼ばれていました。彼自身はテロの実行犯ではありませんが、彼の影響を受けた若者がテロ事件を起こした。チョードリーはテロリズムを導いたとしてテロリズム法で逮捕され、2015年に懲役5年半の有罪判決を言い渡されました。

―実行犯ではないのに逮捕されたことについて、イギリス国民はどう見ているのですか?

ケリー 多くのイギリス人は、彼の発言は過激派を生む危険要素があると考えていたので、逮捕には賛成でした。オウム真理教の麻原彰晃はテロ行為を直接命令しましたが、チョードリーは直接的な指示はしていません。しかし、国民は彼が逮捕されたことに安心した。今回のロンドンテロ事件の容疑者の中にも、チョードリーと関与していたと思われる人もいます。

―過激思想を表明しただけで逮捕されることもあるということですね。共謀罪成立へ進む日本も、イギリスと同じような道をたどっているように思います。

ケリー ただ、イギリスと日本の違うところは「国際テロ」事件の有無です。日本ではこれまで、オウム真理教の地下鉄サリン事件のような国内テロはありましたが、国際テロに遭ったことはありません。それなのに日本政府は「テロ対策」として共謀罪法案を可決しようとしている。

もうひとつ問題なのは、共謀罪の対象とされる277の犯罪の中には、例えば建造物の建築反対運動など、テロとは考えられない犯罪もあることです。沖縄の米軍基地建設に対する抗議行動を取り締まるためにも利用されるかもしれません。

―イギリスでは、この沖縄の例のように政府に反対する活動家が逮捕されたことはありますか?

ケリー 1980年代のサッチャー政権時代、アメリカ軍が巡航核ミサイルをイギリスに配備することになり、基地前で反対運動をしていた活動家が逮捕されました。この取締りには当時、MI6も乗り出したのです。他には、同じくサッチャー首相が警察を使って炭鉱労働者ストを弾圧したこともあります。


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