女優、声優、グラビア……ジャンルを超えて活躍する新時代の才能・小宮有紗

今、アニメ業界で話題の女のコがいる。小宮有紗(こみや・ありさ)、23歳。大ヒットアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』のキャスト(声優)のひとりとして、今年9月には西武ドーム(現メットライフドーム)でのライブも決定。この夏は、全国ツアーのみならず海外のステージにも立つ。

一方で、園子温(その・しおん)監督をはじめとする日本映画界の至宝たちの作品にも出演。時に濡れ場も辞さない姿勢は、本格派女優と呼ぶにふさわしい。さらに、発売中の『週刊プレイボーイ』27号で見せてくれた高いグラビアのポテンシャル―

いくつものメディアを横断しながら、ここまで変幻自在に表現できるタレントがこれまでいただろうか? 間違いなく、今後の芸能界を揺るがすことになる“ニュータイプヒロイン”にこれまでのこと、これからのことを語ってもらった。

(1)セーラームーンに憧れ

私は、栃木県の下野(しもつけ)市という、割と田舎町で生まれ育ちました。小さい頃に大好きだったのが、『美少女戦士セーラームーン』。とにかく主人公の月野うさぎちゃんになりたくて、3歳の頃にバレエを始めました。たぶん、バレエで着るチュチュが、セーラームーンの超短いスカートに見えたんだと思います(笑)。当時から戦隊モノも見ていて、「この人たちになりたいな」と思っていたので、“戦う女のコ”に憧れていたのかもしれません。

そんな理由で始めたバレエですが、やっていくうちに踊ることが好きになって、中学生まで続けることになりました。ただ、身長が伸びて体重も増え、このままバレエを続けていけるのか不安になっていた頃…今の事務所にスカウトされました。中3のときです。芸能界には特に興味がなかったんですが、社長から「お芝居のレッスンを受けるだけでいいから」と言われ、演技やダンスを習わせてもらうことになりました。

当時は、毎週土曜日に片道2時間かけて都内のスタジオに通っていました。高校生にとっては結構大変だったと思うんですけど、「一度始めたことはやり通さなきゃ」っていう気持ちがあったんだと思います。

(2)特撮ヒロインの1年

舞台やドラマのオーディションを受け、少しずつ仕事をさせてもらえるようになった頃、初めていただいた大きな役が『特命戦隊ゴーバスターズ』のイエローバスター役でした。でも、実はこの役のオーディションを受けるつもりはなかったんです。

その前に2回、特撮モノのオーディションに落ちていた私は、高校卒業を控えていたこともあり、「今回のオーディションは受けません」と事務所に伝えていました。ただ、当時のマネジャーさんが勝手に応募しちゃって。「とにかく行くだけでいいから」と言われて行ったら、受かっちゃったんです(笑)。

「そろそろ芸能界に見切りをつけて、専門学校か短大に行こうかな」と思っていたときに、小さい頃から憧れていた戦隊ヒロインになれちゃうなんて…。人生って、予想したとおりにはいかないんですね。

右も左もわからなかった新人の私にとって、それからの1年はとんでもなく濃かったです。戦隊モノって、TVだけじゃなく映画、Vシネ作品も同時進行で作るので、一番忙しい時期には、早朝からそれぞれの現場をかけ持ち。撮休の日にもヒーローショーのリハーサルをするなど、信じられないくらい目まぐるしい毎日でした。当時は、プロデューサーさんのことを「あの鬼のせいでこんなにつらいんだ」って本気で恨んでました(笑)。

私は濡れ場を演じることもためらいません

(3)飛び込んだ声優業界

1年間、『ゴーバスターズ』の現場で過ごしたことで、「もうこの仕事しかない」と思うようになった私。その後、女優として特撮以外の現場もやらせていただくなか、思い切って挑戦したのが声優でした。

というのも、戦隊モノって、マスクをかぶってお芝居やアクションをするシーンがあるじゃないですか。あのときのセリフは、全部アフレコで録るんです。私も『ゴーバスターズ』で怪人役を務める人気声優の方々と共演し、「芝居の一環として、声優もやりたいな」と思うようになっていました。

でも、TVアニメと実写を両立することってスケジュール的に難しいんです。だから、本格的に声優をやるのは無理だと思っていましたが、「やりたかった声優に挑戦したい」と思ってオーディションを受けたのが、『ラブライブ!サンシャイン!!』でした。

今では、この作品で声を当てているからということで実写の現場に呼んでいただけることもあるし、こうして雑誌にも取り上げていただいたりと、むしろ仕事の幅が広がりました。やっぱり、人生は予想どおりにはいかないですよね。

(4)濡れ場もためらわず

昨年、『夢二 愛のとばしり』という映画が公開されました。実は、『ラブライブ!…』のオーディション前に出演が決まった作品でしたが、マネジャーさんからは「無理に受けなくてもいいよ」と言われていたんです。いわゆる“濡れ場”のシーンがあるから。

でも、竹久夢二という実在の人物を描くにあたって、彼の女性遍歴は外せません。作品のテーマが要請するなら、私は濡れ場を演じることもためらいません。『ラブライブ!…』も『夢二』も、どちらも小宮有紗であって、小宮有紗ではないから。

実は、この1、2ヵ月の間に、新たに4本の実写作品に参加させていただきました。今、配信されている園さんの『東京ヴァンパイアホテル』でも、すぐに死んじゃう役と、それとはまったく関係ない役と、2役いただきました(笑)。

だけど、こうやってすてきな監督さんの現場をいくつも経験させてもらえる今の状況って、すごくありがたいと思うんです。「なんかこのコ、あれもこれも出てるよね」って、気になってもらえるとうれしいです。

「胸はないけどお尻はある」と(笑)

(5)グラビアでトップを

最近、楽しくなってきたのがグラビアのお仕事です。10代の頃は、水着を着るのが恥ずかしかったし、お尻が大きいのもコンプレックスでした。でも、今までのファンの方々に加え、『ラブライブ!…』のファンの方々の応援もいただけるようになって、意識が変わりました。

体形のことだって、「胸はないけどお尻はある」と、今はセールスポイントにしています(笑)。目標は、『週刊プレイボーイ』と『週刊ヤングジャンプ』の表紙を飾ること。そこがグラビア界の頂点だと思うから。

だけど、その先の最終的な目標は立てないようにしています。「こんな女優になりたい」とか「こういうキャリアを築きたい」なんて考えた瞬間、そこで限界が決まっちゃう気がするからです。

女優と声優は、芝居の質も違うし、業界が異なるので、両立するのが難しいといわれます。でも以前、ある大先輩から「どっちかに絞っちゃダメ」って言われたんです。たぶん、ここで声優をやめちゃったら、せっかく身についた声の芝居を手放すことになってしまう。せっかく“ゼロからイチ”にできたことは、続けていきたいです。そして、あらゆることを経験した上で、唯一無二の新しい役者になれたらなって思います。

『週刊プレイボーイ』27号(6月19日発売)では、“ニュータイプヒロイン”小宮有紗のグラビア8Pを掲載!

(取材・文/西中賢治 撮影/熊谷 貫)

●小宮有紗(こみや・ありさ)1994年2月5日生まれ。2015年より、メディアミックス作品『ラブライブ!サンシャイン!!』で黒澤ダイヤ役を務める。園子温監督作『東京ヴァンパイアホテル』がAmazonプライム・ビデオで配信中のほか、『痛快TV スカッとジャパン』『今夜はナゾトレ』のドラマパートなどに出演中。公式サイトhttps://komiya-arisa.net/