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いじめによる悲劇はなぜ繰り返される? 外国人記者が問題視する日本の「文化的背景」

[2017年06月23日]

ヨーロッパにもいじめはあるが、「集団でのいじめ」が日本の特徴だと語るマクニール氏

茨城県取手市の中学3年女子生徒がいじめによって自殺に追い込まれた事件など、2013年に「いじめ防止対策推進法」(いじめ防止法)が施行されて以降も、被害を受けた子供が自ら命を絶つ悲劇は繰り返されている。

外国人記者の目には、日本のいじめ問題はどう映っているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第81回は、英「エコノミスト」などに寄稿するジャーナリストで、日本で2児の子供を育てるデイヴィッド・マクニール氏に話を聞いた――。

***

―2015年11月に女子生徒が自殺した取手市の事件では当初、市教育委員会はいじめの事実を認めず、生徒の両親が第三者委員会の設置を要求。しかし、第三者委員会は全く機能せず、先日、両親の求めにより解散しました。

マクニール この事件の報道に接した時、「またか」という印象を抱きました。私は以前、神奈川県の津久井町に住んでいたのですが、1994年に近所で起こったいじめ自殺事件の裁判を取材して記事を書いたことがあります。

相模原市から津久井町に転居した中学2年男子生徒が新しい学校でよそ者扱いされ、数ヵ月間いじめられた後に自ら命を絶ってしまったのです。その前に彼のお母さんがいじめに気付き、学校に相談していたのですが、いじめはその後も繰り返されていました。ご両親はいじめはなかったと主張する学校や町教委を提訴し、2002年、東京高裁が被告側に損害賠償を命じました。「学校はいじめによる自殺を予見できた」ことを認定する判決は初めてのケースだったとされています。

―学校や教育委員会がいじめの事実を認めないというケースは他にも多く見られます。このような隠蔽体質はどこからきているのだと思いますか?

マクニール 学校や教育委員会が組織の名誉を守ろうとするからでしょう。学校の先生の労働状況にも問題があります。忙しさが尋常じゃない上に、1クラスの生徒数が多すぎる。40人もの生徒ひとりひとりに目を配り、いじめを見極めるのは簡単なことではありません。フィンランド、デンマーク、エストニアといった国では、1クラスの生徒数が20人程度と少ないので、先生が各生徒に十分なケアをできるそうです。

私の知り合いの日本人に、かつてインターナショナルスクールに勤務し、現在は息子を公立の幼稚園に通わせている女性がいます。息子が幼稚園でいじめを受け、そのことを報告すると、先生はほんの少数の保護者たちに漠然とこの話を伝えるだけに留めました。

しかし、かつて彼女が勤務していたインターナショナルスクールでは、いじめがあれば公にして直接話し合っていた。一方で、日本の学校は問題をうやむやにしてしまう。これこそ日本の学校の典型だ、と彼女は言っていました。

―2013年に「いじめ防止法」が施行されましたが、2015年度に全国の学校が認知したいじめは22万4540件と過去最多でした。

マクニール 法律の施行によって認知件数が急増したわけですが、一番多かった千葉の2万9665件に対し、一番少ないのは佐賀で351件。この数字の開きは人口の多寡(たか)によるものではないでしょう。地域によって調査方法などに差があり、いじめがきちんと認知されていないことが読み取れます。そして、2015年度には9人が自殺で亡くなっています。

法律はできた、各自治体はいじめ対策を強化している、いじめに関する本も無数に出版されている…しかし、私が取材した津久井町の事件の頃から、状況は根本的には変わっていないように思います。


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