赤坂の御所に戻られるという形が、最も自然ではないかと思うのです

京都市の門川大作市長が、天皇・皇后両陛下の退位後の「京都住まい」を目指して京都市および京都府が連携して検討を始めると宣言した。

ほかにも、奈良県の荒井正吾知事も奈良への誘致を検討していることを明らかにするなど、両陛下の退位後の動向に各所から熱い視線が向けられている。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

* * *

上皇さま、ぜひ京都にお戻りください! だって御所が東京に移ったのはたかだかここ百数十年のことで、元は1000年も京都にお住まいだったのですから…。いえ、奈良に離宮を造りましょう! と、熱いコールを送る京都と奈良。

両陛下のお気持ちはどうなのでしょうか。ご高齢の両陛下にとって、新しい環境での生活はご負担なのでは?

昨年8月のお言葉からは、陛下がご家族をとても大切にしていらっしゃるのが伝わってきました。ご公務を退かれてからは、ご家族のお近くでのんびりとされたいでしょう。

皇太子殿下が天皇に即位されたら皇居に移られ、ちょうど入れ替わる形で上皇・上皇后両陛下はかつて30年以上を過ごされた赤坂の御所に戻られるという形が、最も自然ではないかと思うのです。

80歳を過ぎてから、お身内の方々と遠く離れた初めての場所にお移りになり、それに伴ってさまざまな行事にも関わらざるをえなくなるのでは、あまりにご負担が大きいでしょう。おふたりをぜひお迎えしたい!という気持ちもわかりますが、両陛下の個人としての人生を大切にして差し上げたいです。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。昨年8月8日の天皇陛下のお言葉には深い感銘を受けた。「個人として考えてきたこと」という文言が、なかでも強く印象に残った。退位後はのんびりと過ごしていただきたい