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迫害された“昭和の遺産”…消えゆくエロ本自販機「なくなって初めて気付く価値がある」

[2017年07月08日]

かつてブームとなったエロ本自販機は、今も生き残る

中年以上の男性にとっては懐かしい「エロ本自販機」。1975年頃の登場から3度のブームを迎え、最盛期には2万5千台が全国各地に存在したが、今や絶滅寸前の“昭和の遺産”となった。

そんなエロ本自販機を3年半にわたり400カ所以上探し出したのが、『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』の著者・黒沢哲哉氏だ。

前編ではそのきっかけと探し方、そして生き残ったからこそ発揮している魅力を話してもらったが、後編は本書の方向性を変えたというエロ本自販機に携わる人々についてだ。そこには間近で見てきた人にしかわからない意外な事情があった。

「最初は自販機の立地や小屋の景観が面白くて、カタログ的な形の本にすることを予定していたんですけど、だんだん探していると人が見えてくる。利用者も取材を始めた当初は長距離トラックの運転手ばかりだと思っていたんですよ。でも実はほとんど地元住民向けだったりするんです」

今の時代、DVDもあれば外に出ずともインターネットで事足りるはず。しかし、そう考えるのは狭い世界の発想だ。

「単にその人が情弱だからネットを使えないワケでもなく、数年前までインターネットブロードバンドも来てないような場所なんですよ。もちろんDVDを買いに街に出るにも往復2時間かかる。だからその周辺の人には必要性があるんです」

もちろん年齢的なこともある。黒沢氏は何度か利用者を見かけたこともあり、高齢者も少なくない。

「一度、撮影していたら古いセダンが来て、おじいちゃんとおばあちゃんが乗っていたんですよ。おじいちゃんが店内に入っている間、おばあちゃんは車の中でそわそわと待っていたことも。そうした年代の人にネット通販を教えるのも無理ですよね」

また、災害を通して感じたこともあった。黒沢氏は熊本の業者を地震直後に取材し、その1年後、本書が出るタイミングで連絡をとったそうだが…。

「震災直後は売り上げもそこまで落ち込んでなかったらしいんですよ。でも、それから落ち込んで戻らないんだよって。高齢者は一度、エロから離れちゃうともう戻らないって人がいっぱいいるんだと思います。自販機がなくなったら、もうエロに対するエネルギーはなくなっちゃうんじゃないかなと不安ですよね」

黒沢氏が興味を持ったのは利用者だけではない。業者にもインタビューを試みて、裏方の人間の姿も探ってきた。

「自販機を置いている地主の人にも会っているんですよ。『こんな田舎でもビックリするくらい売れたんだよ』とか気さくに話してくれるようなおおらかな人たちなんです」

しかし、そうした人たちも世間から悪者として見られているのが現状だという。

「エロ本自販機をネットで探していると地域の広報資料がヒットするんです。そうすると『地主が契約を盾に撤去を拒んでいる』みたいな書き方がされています。でも、彼らにとっては違約金を払わなきゃいけないから断っているだけで、強欲な地主が周辺の住民の反対を押し切って自販機を置いてるってワケでもないんですよ」

一見、廃墟のように見える奥に自販機小屋が

一見、廃墟のように見える奥に自販機小屋が


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