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アクロバティックな“珍技”は本意じゃない? 七月場所を熱くする宇良「押す力がなければ幕内では通用しません」

[2017年07月14日]

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大相撲七月場所が始まった。宇良は上位陣を相手に白星を重ねられるか(写真はイメージです)

7月9日に初日を迎えた大相撲七月場所。

先場所に11勝(4敗)を挙げた宇良(うら)(25歳・木瀬部屋)が、自己最高位の東前頭4枚目で臨んでいる。横綱や大関に初挑戦する可能性もあり、今場所は“勝負の土俵”となる。

174cmと小柄な宇良は、関西学院大学時代に披露した「居反り」など、アクロバティックな“珍技”で話題を集めた。しかし、対戦した力士の多くは「前に出る力がすごい」と口をそろえ、宇良自身も「攻める気持ちを忘れないようにしたい」と明かしている。

その姿勢を最初に叩き込まれたのは、4歳のときに入門した、地元の大阪・寝屋川市相撲連盟の道場でのことだった。現在も同連盟で指導に当たる菊池弘至(ひろし)氏は、1975年に伊勢ノ海部屋に入門し、幕下まで上がった元力士。初めてまわしを締める子供たちに、菊池氏は「真っ向から相手に当たって前に出る」という指導を徹底している。

「勝つことだけに固執すると、立ち合いで変化したり、いなしたりすることもある。それでは、『相手に当たって前に押す』という相撲の基本は身につきませんから」

宇良はその教えを忠実に守り、菊池氏が自ら胸を貸すぶつかり稽古でも、怖がらずに頭から当たってきたという。

小学3年からは、相撲と並行してレスリングに取り組んだこともあったが、京都の鳥羽高校に進学後は再び相撲漬けの日々を送ることになる。入学時の身長は152cm、体重は52kgで相撲部のみならず、クラスの中でも一番体が小さかった。だが、当時の田中英一監督が宇良に徹底させたのも、やはり「前に出る」相撲だった。

「勝ちを急ぐ相撲は取らせませんでした。本当の力を身につけさせるため、20番、30番と続く稽古でも、負けてもいいから前に出るように言い聞かせていました」

その原点を忘れなかった宇良は、関西学院大相撲部を経て木瀬部屋へ入門すると快進撃を見せる。15年春の初土俵からわずか7場所で十両に昇進し、12場所で新入幕を果たす。先場所までに負け越したのはわずか1場所と、番付を駆け上がってきた。

宇良の成長を見守ってきた菊池氏は、「アクロバティックとか言われていますけど、押す力がなければ幕内では通用しません。これまで地道に稽古を重ねてきたことが、今の成績に表れているのだと思います」と、スピード出世の理由を明言する。

幕内上位の力士との対戦に備え、懸命に食べる量を増やしてパワーをつけることも怠らなかった。新弟子検査で113kgだった体重は、今や137kgまで増量。「持ち味のスピードとキレがなくなるのでは」と懸念されることもあったが、猛稽古によってそんな声を一蹴した。

現在、幕内力士は大型化が進み、平均身長と体重は180cm、160kgを超えている。しかしそれによって、宇良の“身長の低さ”が生きるようになった。対戦した誰もが「やりづらい」と漏らすように、巨漢力士の懐へもぐり込んで一気に押し出す姿は、多くの相撲ファンを魅了する。

小さくても、努力を重ねれば出世への道は開く。新弟子不足に悩む角界の未来をも照らす宇良の相撲が、真夏の七月場所を熱く盛り上げる。

(取材・文/松岡健治)


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