連日のように新たな動画やブログ記事をアップしては糾弾し続ける…自分の身に降りかかったと考えると怖ろしい (YouTubeより)

「私の財産を女と一緒に奪おうとしている」

「バイアグラ100ミリリットル(原文ママ)男 船越英一郎と全面戦争、はじまりますよ」

鬼気迫る表情を浮かべたネット動画やブログで、夫で俳優の船越英一郎の「不倫疑惑」を暴露し続けるタレント、松居一代。

その内容には支離滅裂なものも多いが、真偽のほどはともかく、船越の受けたダメージは甚大だ。弁護士法人・響(ひびき)の徳原聖雨(とくはら・せいう)弁護士が解説する。

「『バイアグラ男』といった発言は、真偽がどうあれ名誉毀損(めいよきそん)にあたる可能性がありますし、ほかにも松居氏はYouTubeの動画上で、船越氏が糖尿病であると発言しています。健康食品のイメージキャラクターを務めている船越氏からすれば、本人の意に反して病気を暴露されるのは完全な営業妨害といえ、損害賠償請求に発展するかもしれません」

実は、これは誰にとっても人ごとではない。SNSやブログなどで気軽に発信できる時代、関係がこじれてしまった恋人や配偶者に“ネット暴露テロ”を仕掛けられるリスクはどこにでもあるからだ。

こうした“テロ”から身を守る方法はあるのか? 徳原弁護士はこう語る。

「残念ながら、クリックひとつで実行可能な暴露行為を未然に防ぐことは難しい。できるのは、暴露後の被害を最小限にすることくらいです」

被害を最小限にするメニュー

そのメニューとして徳原弁護士は、(1)サイト運営者に名誉毀損やプライバシー侵害が行なわれていると通報し、削除依頼を出す、(2)弁護士を通じて、相手に動画や記事の削除依頼を出す、(3)警察に被害届を提出する、(4)裁判で賠償請求をする、などの方策があるとアドバイスする。

「特に弁護士から連絡すると、加害者側は驚いてきちんと対応することが多い。私も以前、リベンジポルノのような事案で加害者側に通達をしたところ、すぐに当該行為がやんだことがありました」

また、その後の離婚調停など法廷での戦いを補強するために、アップされた動画や記事を保存しておくのに加え、普段から暴言や脅しがあれば、録音やメモで記録に残しておくことも大切だという。

ただし、加害者側が精神的な病気などを抱えている場合は事情が異なる。

「法的な責任が認められるのは、あくまでも相手が『自分の行為を認識できている』ことが前提。もし、医師などから責任能力なしと診断された場合、法的責任は問えない可能性があります」

そのときは、動画や記事を削除させるところまでがゴールと割り切るしかない。