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世界アポなし引退ツアーから47歳にして現役復帰! 海外でリスペクトされる異端のプロレスラー・ディック東郷とは

[2017年07月20日]

WWF(現WWE)でも活躍、47歳にして現役復帰したディック東郷選手

1991年にデビューし、キャリアの大半をフリーの悪役レスラーとして活躍してきたディック東郷。参戦した団体は日本国内のみならず、アメリカWWF(現WWE)まで多岐に渡る。“レスリングマスター”と呼ばれるほどの技術を持ち、試合だけでなく世界中で指導も行なってきた。

その東郷は41歳だった2011年6月、日本で引退試合を行なった後、約1年の世界引退ツアーに出発。しかもまさかのアポなしでバックパッカーとして自ら地元のプロモーターと交渉しつつ、終着点は敬愛するチェ・ゲバラ最期の地であるボリビアという破天荒なサーキットを成し遂げ、12年9月に引退した…はずだった。

ところが、2016年6月、47歳にして突如ツイッターで現役復帰宣言! 試合を観に行ったところ、引退前である30代の頃よりも迫力が増してキレッキレじゃないですか!

世界サーキットを経て、引退したからこそ見えたものがあるのか? なぜ復帰を決意したのか? 復帰から1年、今また新日本プロレスのマットにも登場している彼に話を聞くしかない!と時間をいただき、フリーレスラーとして「生涯一ヒール」を貫く矜持(きょうじ)を伺った!

* * *

―引退ツアーでは、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカ、中南米と22ヵ国も巡ったそうですが、やはり危険な目に遭(あ)われたのでは?

D東郷 それが僕は運がいいのか、物を盗まれたり襲われたりという、いわゆる旅のアクシデントには遭ってないんですよ。ただレスラーにとっても危険はたくさんあって。これはメキシコの友達から聞いたんですけど、ある悪役レスラーが試合後にマイクで「この会場の女は全員ビッチだ!」と言ったんです。

悪役だし、ここまではよくあるマイクアピールでブーイングを受けて終わるハズだったんですけど、彼が運が悪かったのはそこは「ロス・セタス」という有名な麻薬カルテルの本拠地だったんです。

―ロス・セタスって、“史上最も危険”とされる麻薬カルテルですね!

D東郷 そのロス・セタスの幹部が警察と壮絶な麻薬戦争をしている最中に、最前列に観戦に来てたんですよ。しかも奥さんを連れて。で、部下にマシンガンを持ってこさせて「俺の妻がビッチだと!?」って、そのレスラーの口に銃口を入れて1万5千人の観客が見守る中で土下座させたという…。

―まさに口は災いの元! メキシコではマイクアピールも下手なこと言えないと…!

D東郷 やっぱり中南米はひと筋縄ではいかないというか(笑)、治安の問題はあって。メキシコは夜でも試合できるぐらいなんですけど、グアテマラは昼間でもお店が鉄格子に囲まれているし、泊めてもらったプロモーターの家も鍵だらけで、部屋に入るまでに10コは鍵を開けなきゃいけない。彼の左右のポケットには30コぐらいずつ鍵が入っていて、常にパンパンでしたね(笑)。

エクアドルなんかも街角に「殺し屋を探しています」という張り紙があったり、黒人がたむろして道行く人を物色している感じで、何かイヤ~な雰囲気なんですよ。

―怖い…! 中南米はどんなレスラーがいるんですか?

D東郷 ボリビアにはタタケっていう2m超えの元ボクサーの選手がいて、彼はすごくイタズラ好きなんです。移動の深夜バスでひとり起き出して、みんなの荷物を窓から投げ捨てちゃったり、カベジェラ・コントラ・カベジェラ(髪の毛を賭ける試合)を控える選手のモヒカンを剃ってしまったこともありましたね。

―イタズラのレベルが違う!

D東郷 そう、彼のイタズラは度を越してました…。剃られた本人は会場で「おまえ、髪は!?」って言われるまで気付かず、結局、カツラをかぶって試合したけど最初のヘッドロックでポロリと取れて、会場は爆笑だったという(笑)。他にもコマンドーっていう小型爆弾を使う選手もいて、巡業バスの中で若いヤツに小型爆弾を作らせていたりするし、ボリビアは選手も変な奴らばかりですね。


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