アマゾンは、ホールフーズの買収でアメリカ人の買い物の行動パターンを変化させようとしている?

アマゾンが、アメリカの大型スーパーマーケットを買収して注目を集めている。

これについて、『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、前編に続き、アマゾンの狙いを読み解く!

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ホリ 配送は既存の宅配会社と提携するより、Uber(ウーバー)みたいなシェアリングエコノミーをやってくると思う。あとは、自動運転を使ったり。もちろんドローンも活用するだろうし。

ひろ 自動運転とかドローンが実用化されるのって、あと3年くらいかからないすか?

ホリ そうかもね。まだ実験レベルではあるし。

ひろ そう考えると、アマゾンは実業よりも、「アマゾン証券」とか「アマゾン金融」みたいに金融事業を手堅くやったほうが、利益率が高そうなのに……。

ホリ でも、「アマゾンペイ」とかやってるし、着実に手をつけているよ。あとは、マーチャント(業者)向けのファクタリング(他人が保有する売掛債権を買い取り、その債権の回収を行なう金融サービス)とかも。

ひろ 今ふと思ったんですが、ホールフーズの買収って僕たちが思っていたのと全然違う方法のアプローチかもです。ネット通販をやっているアマゾン的には、リアル店舗ではなくネットで買う人を増やしたほうがいいわけですよね。極端な話、リアル店舗に行く必要性を皆無にしてしまえばいい。

ホリ そうだね。

ひろ アメリカの食料品の買い出しって、車で出かけて大量に買って家に帰るという感じですよね。でも、ネットで事足りるようになって食料品の買い出しがいらなくなると、在宅で仕事してたりする人は、家から出る必要がほとんどなくなる。

ホリ 当然その流れになるよね。

ひろ そうやって家から出なくなった人は、ますます通販に依存していくわけです。そう考えると、ホールフーズの買収って、アマゾンの商品カテゴリーに生鮮食品がひとつ増えましたという単純な話じゃなくて、アメリカ人の買い物の行動パターンや文化そのものを変化させてやろうってことなんじゃないかなと思います。

ホリ たぶん、そうでしょ。アマゾンはそこまで考えていてもおかしくないから。

ひろ 確かにアマゾンって、10年先を見て経営しているような会社なので、あながち間違っていないと思うんですよ。今の時代ってSNSやスカイプの普及でリアルに会う必要もなくなってきましたよね。そして通販やオンデマンドによって家から出なくてもよくなった。

めっちゃ便利になっているんですが、その一方で、人間の活動をなんでもスマホやPCの前だけで完結させようとしている。これを“ITによる文化の侵略”と考えるといろいろ面白いですよね。

ホリ そだね。

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)