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北朝鮮ミサイルの脅威を日本人はどこまで実感? 「予測不可能」が本当に怖いからこそ難しい

[2017年07月27日]

「北朝鮮のミサイルに対する日本人の危機感が、どの程度『実感』に基づいているものなのか不思議に感じる」と語る、「朝鮮日報」東京支局長の金秀恵氏

ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発に成功したと宣言し、日本や韓国だけでなく、アメリカにとっても無視できない「脅威」となった北朝鮮。

相次ぐミサイル発射実験を受け、日本政府は4億円近い予算をかけて「外国からのミサイル攻撃」を想定した全国瞬時警報システム「Jアラート」の広告をTV、新聞、ネットなどに掲載。一部の地方自治体では「ミサイルから身を守るための避難訓練」まで始まった。

だが、北朝鮮による日本へのミサイル攻撃は、それほど差し迫ったリスクなのか? また、仮に攻撃があった場合、わずか数分で飛来するミサイルに、そうした「避難訓練」がどれほどの効果を持つのか…など、こうした対応に違和感を持っている人も少なくない。

70年近くも北朝鮮の深刻な脅威と向かい合ってきた韓国の人たちは、こうした日本の対応をどう見ているのか? そして、韓国では「北の攻撃」に備えてどんな訓練をしているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第85回は、「朝鮮日報」東京支局長、金秀恵(キム・スヘ)氏に話を聞いた――。

***

─相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に対応する形で、日本政府は6月から「他国からのミサイル攻撃」を想定した避難方法のCMを流したり、一部の自治体では避難訓練を行なったりしています。こうした日本の反応をどのように見ていますか?

 私が少し不思議に感じるのは、北朝鮮のミサイルに対する日本人の危機感が、どの程度「実感」に基づいているものなのか? 日本の人たちの感じている危機感には少しアンバランスな面があるのではないか、という点です。

韓国は今も国際法的には北朝鮮と「休戦状態」にあり、これは言い換えれば「戦争が続いている」という意味です。もちろん、休戦状態がもう70年近くも続いていますから、韓国人の中でもそうした「実感」が薄れてきているのは事実です。ただ、それでも韓国人にとって北朝鮮の問題や脅威は、今も「リアル」な現実の一部なんですね。

一方、日本の人たちはそういった脅威にどの程度の「実感」を持っているでしょうか? ある日本人の友人は「北朝鮮のミサイルの脅威」を強調する安倍首相について「国民を守るのが政府や首相の仕事だから当然のこと」だと言っているけれど、「本当に北朝鮮が日本にミサイル攻撃をする可能性があると思う?」と聞くと、どうやら、そういう実感はあまりない…。

ちょっとヘンな例かもしれませんが、例えば私がDVの被害者だとして、危機に瀕しているのは暴力を振るう夫と暮らす私のはずなのに、隣の家の奥さんが「怖い、危ない」と悲鳴を上げて大騒ぎしている…みたいな違和感とでも言ったらいいでしょうか。

私には、そうした北朝鮮の脅威に対する危機感を安倍首相や政府が政治的にうまく利用しているようにも見えます。特に、安倍首相が政治的に難しい問題に直面して、求心力を取り戻したいタイミングで北朝鮮がミサイルを発射することが多いものですから。

─そういえば、今回も東京都議選で自民党が惨敗した直後に北朝鮮がミサイルを発射しましたしね。まるで、安倍総理が「今、ちょっとピンチなので、日本海にミサイル一発お願い!」って金正恩に頼んだみたいなタイミングですよね(笑)。

 そう(笑)。韓国のTV番組で『Xマン』というのがあります。この番組は、2チームに分かれて各チームが自分のチーム内にひとりだけ潜んでいる「スパイ」を見つけ出すゲームなのですが、大抵、最後に見つかるスパイは「まさか、この人が!」って驚くぐらい意外な人物なんです。ですから、韓国では「金正恩が安倍首相の『Xマン』なんじゃないの?」なんてジョークを言っている人もいます。

─「他国の脅威」や国民の「不安」「恐怖心」を利用して政権側が求心力を高めようとするのは、政治の世界では昔からよくある手法だと思います。韓国でも、やはり同じようなことがあるのでしょうか?

 私は1973年生まれで、小学生の頃は軍事独裁政権下にありました。学校では毎日1、2時間、マスゲームの練習がありましたし、地域のお祭りでも子供たちは団体行事に参加しながら愛国心などを教え込まれていました。毎日、夕方5時になると全国で韓国の国歌が流れて、その間は全員起立して国歌を聴かなければならなかった。子供の頃、叔母が市場で鶏を値切っている最中に国歌が流れてきて値下げ交渉が中断…みたいなことがあったのを今でも覚えています(笑)。

89年に軍事独裁が終わり民主化が実現するまではそんな時代だったので、今は逆に、その経験から韓国の国民の間にも「政府は国民の不安や恐怖を利用することがある」という反発や警戒心があるように思います。

その一方で、私も子供の頃から大韓航空機爆破事件やミャンマーでの爆弾テロ事件(ラングーン事件)など多くのテロ事件を見てきたので、先ほどもお話したように、韓国の国民にとって「戦争」は嘘じゃない、リアルな現実でもあります。ですから、北朝鮮の脅威に対する「実感」と、そうした脅威を政府が政治的に利用する危険もあるという「実感」…ふたつの実感の間で生きているということが言えるかもしれません。


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