スナック、飲料、麺類、たこ焼き、シュークリームなど続々登場する「瀬戸内レモン味」

このところ、レモン風味の食品が大ブームだ。

それもただのレモンじゃない。ジュースにお茶にそうめん、スナック菓子、即席焼きそば、たこ焼き、さらにはシュークリームまで、「瀬戸内レモン味」と名づけられた商品が続々と登場、飛ぶように売れているという。

爽やかなレモンの酸味は今のシーズンにぴったりだが、この「瀬戸内レモンブーム」の火つけ役といわれているのが、まるか食品(広島県尾道市)の「イカ天瀬戸内れもん味」だ。

そのパンチの効いたレモン味に週プレ編集部でも“中毒者”が続出しているこちらは、2013年12月の販売開始からわずか3年半で900万袋を売った大ヒット商品だ。まるか食品の松枝修平企画課長がこううれしい悲鳴を上げる。

「現在の生産量は月産40万~50万袋。弊社の総売り上げの3割を占めるまでになっています。しかも最近では、中国など海外からも大型の注文が舞い込むようになったため、来年春にはさらなる生産ラインの増設を予定しています」

ただの「レモン味」と比べて、どこか奥深さを感じる「瀬戸内レモン味」。一体、いつ頃から登場したのか?

広島市にある、瀬戸内ブランドを発信する事業を担う「せとうち観光推進機構」に聞いた。

「まるか食品さんがイカ天を出された13年以前にも、瀬戸内レモン味を掲げた商品はありました。ただ、いずれも季節限定、地域限定だったり、すでに生産が終わっているものも。早い段階から瀬戸内レモン味を打ち出し、全国販売して大ヒットしたのは、この商品が最初といえます」

どうやら、この「イカ天瀬戸内れもん味」の大ヒットをきっかけに、他社の参入が相次ぎ、今の瀬戸内レモンブームが生まれたというのだ。

さて、このイカ天。最初こそ強烈な酸味が印象に残るが、ふた口、三口と食べ続けると、あーら不思議、その酸っぱさでイカ天の油が洗い流され、さっぱりとした味わいへと変化していくのだ。次第に手が止まらなくなり、無性にビールが飲みたくなる!

メインは梅味で、レモン味は添え物的存在でした

さぞかし、メーカーは商品開発に苦労したのでは、と思いきや、前出の松枝課長がこう苦笑する。

「実は結構、手っ取り早く作りました。年に3回、季節限定で様々な味のイカ天を販売していて、『瀬戸内れもん味』はそのひとつでした。しかも、同時期に開発した3種類のうち、メインは梅味で、レモン味は添え物的存在でした。当初の予定では13年6月から3ヵ月間限定で、製造を終了するはずの商品だったんです」

添え物にすぎなかった「イカ天瀬戸内れもん味」が大ヒット商品に大化けするまでには、いくつかの幸運があったという。

【幸運1】 調味料メーカーの売り込み季節限定商品として、年に3回、計8、9種類のさまざまな味のイカ天を販売していたまるか食品だが、レモン味のイカ天を作るという発想はなかったという。松枝氏が続ける。

「次はどんな味にしようかと悩んでいた12年頃、ある調味料メーカーが『国産レモンを利用した調味料を開発したので使わないか?』と売り込んできたんです。調べてみると、ウチも他社もレモン味のイカ天を売り出したことはなかったので、ならばと作ることに決めたんです」

つまり、レモン味はメーカーが特に狙って開発した味ではなかったのだ。

★さらに大ブームにつながる3つの幸運が!? この続きは明日配信予定!

(取材/ボールルーム 撮影/村上庄吾 日野和明)