『脱いでみた』で裸体を晒した3人。(左から)みさきさん、みさとさん、なごほさん

今年5月、“女性が楽しめる女性のためのヌード写真”集『脱いでみた』が刊行された。著者は以前、週プレNEWSでも取材したフォトグラファー・花盛友里さん。

彼女が主催した写真展を書籍化したもので、作品には約50名ものヌード写真が収められている。そのうち、約20名はインスタグラムで募集した一般女性だ。モデルの応募は殺到し、先着で締め切ったという。

彼女達はなぜ自分のヌードを撮られたいのか? 彼女達にとってヌード、性とは一体なんなのか? ヌードモデル募集を見て即応募し、実際に作品に参加した、みさきさん(フォトグラファー・24歳)、みさとさん(大学生・22歳)、なごほさん(女優・カメラマン・21歳)に話を聞いた。

***

―募集を見て、すぐ応募されたとのことですが、なぜヌードモデルをやろうと思ったんですか?

なごほ 私は全然自分に自信なかったんですけど、花盛さんの写真の中の女のコが美しすぎて“そのひとりになりたいな”っていう思いで応募しました。

みさき 私も花盛さんの写真が元々好きで。自分でも写真をやっていて、下着のコを撮影したりしているのですが、“自分が写真に映ってみたらどうなのかな”と応募しました。

みさと 私もです。花盛さんのファンで、花盛さんが撮影する湿っぽさのないヘルシーなヌードに自分も写ってみたいと思って。

―皆さん、花盛さんのファンだったと。でも自分がヌードなることに抵抗はなかったんですか?

みさと 裸になるってことに対する特別感がないですね。ヌードではないですが、ヌードに近い撮影自体は1回やったことがあって。『美おっぱいコンテスト』にノリで応募してファイナリストに残ったり、それで下着の撮影もしました。あと、新体操もやってたので…。レオタードってほぼ裸ですよね。

みさき それはどうかな(笑)。でも私もあまり抵抗はなかったです。『脱いでみた』に携わりたかったんですよね。募集がモデルだったので応募しましたが、もしアシスタント募集ならそれでもよかったんです。“脱ぐ”という行為へのハードルはすごく低くて、なんでもないことなんですよ。

―何か一大決心をして脱いだわけではないんですね…。ただ一般的に「ヌード撮影」には抵抗のある女性も多いのではと。ふたりはなぜそこに抵抗がないんでしょう?

みさき 元々ですかね。「恥ずかしい」って感情は持ってますよ。電車でマックを食べるのは恥ずかしい。でも裸になるのが恥ずかしいとは思わない。みさとちゃんは?

みさと 同感。でも私は元からではないかな。実家がすごく厳格で、性のこととかについて「こういう場所でこういう話をすべきでない」とか注意されて「なんで話しちゃいけないの!」とかって疑問が生まれていったんです。だってセックスって人間の普通の行為ですよね。そういう感覚があるから、人間を“生物”として見てるところがあるのかもしれないです。なんで“乳首を隠さなきゃいけないのか”とかも結局、習慣とか文化でしか理由はないと思うんです。

直前まで「帰りたい」

直前まで迷っていたというなごほさんは、気軽に脱げるふたりが不思議だったという

―なるほど。人間を社会的な存在としてではなく、生物として捉えているんですね。でも、普通はそう見る人は少ないかなと。『脱いでみた』は女性向けのヌード本ですが、仮に男性が「エロ目線」でこの本を見ていたらどう思います?みさと 別に猥褻(わいせつ)かどうかは読み手の中にしか答えがないですよね。花盛さんも私もエロ目線ではないスタンスで撮影していますし、作品を見てもエロとは思わないんですけど、人の感性はそれぞれなので、エロで見てもらっても全然大丈夫。むしろ意見を聞いてみたいですね。

みさき 私の男友達は『脱いでみた』に出ている女のコの身体に残った下着の跡を見て「俺、これめっちゃ好き。ヌケる気がする」って言ってました(笑)。受け取り方はいろいろあるんだなと。

なごほ ……。

―なごほさん、大丈夫ですか? 絶句してますが(笑)。

なごほ 大丈夫です(笑)。ふたりともそうなんですね。私は全然自分に自信なかったから…。撮影当日、ビルの前で花盛さんを待ってる時、「帰りたい」って思いました(笑)。

―辞めるなら最後のチャンスだと?

なごほ 花盛さんにお会いしたこともなかったので、自分が思ってる人じゃなかったらどうしようみたいな怖さは正直ありました。

―皆さん、実際に花盛さんに会った時の印象はどうでした?

みさき ニコニコしてて「朗らか~!」って感じでした。

なごほ まさにそんな感じです! 私の撮影の時は撮影前に時間が空いてしまって、ふたりでお茶をしたので、20分くらい話がいろいろできて。そこで落ち着いたって感じです。

みさと 私とみさきさんは脱ぐことに抵抗がないけど、なごほさんはちょっと抵抗があったんですよね? なのに、すごいと思う。

なごほ 花盛さんも以前からおっしゃってることですが「女のコは本質的には脱ぎたいと思っている」と思うんです。撮影ぎりぎりまではイヤだったけど…。

* * *脱ぐことに抵抗がないみさとさんと、抵抗を感じながらも撮影に踏み切ったなごほさん。前編ではヌード撮影前に3人が「脱ぐ」という行為をどのように捉えているかにスポットを当てたが、後編では撮影中の心境、また撮影後の興味深い“心理的変化”に迫る!

(取材・文/伊藤このみ 撮影/五十嵐和博)

■花盛友里(はなもり・ゆり)フォトグラファー。大阪府出身。女性誌や音楽誌、広告などで主にポートレートの撮影を手がける。今年5月には『脱いでみた』が発売された。詳しくは公式サイトにて  http://www.yurihanamori.com http://qreators.jp/qreator/hanamoriyuri