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戦争体験の風化を押し止めようとする作家・西村京太郎の思い「日本人は戦争に向いていない」

[2017年08月24日]

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『十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」』の著者・西村京太郎氏

この9月に87歳の誕生日を迎える作家・西村京太郎氏の新刊『十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」』(集英社新書)は、ご自身の戦中から戦後にかけての体験と、そうした体験を通して得た「日本人は戦争に向いていない」という考えについて書かれている。

「生れてから七年間は平和だった。昭和十二年に盧溝橋事件があって日中戦争になり、昭和二十年まで、八年間延々と戦争が続く。十五歳までである」とあるように、幼少期を丸ごと戦争とともに過ごし、敗戦の年4月には東京陸軍幼年学校に入学、同校の最後の生徒として、短いながらも士官候補生の教育を受けている。

戦争の悲惨さを身をもって知り、戦後70年の一昨年、「安保法案」が国会で可決され、「戦後」が「戦前」の様相を呈してきたことに危機感を覚え、その年末から翌年に刊行された十津川警部シリーズ作品にはどれも戦争、戦後のことを組み入れるなど、戦争体験の風化を押し止めようとしてきた思いの集大成ともいえる本書を書き終えた西村氏にお話を伺った。

■なぜ戦争がいけないのかをきちんと書いておこう

─戦後70年の一昨年、このあたりで戦争のことをきちんと書いておかなければいけないということで、『無人駅と殺人と戦争』『一九四四年の大震災』『北陸新幹線殺人事件』などにはすべて戦争のことが書かれています。

西村 ええ。何か大それたことを言おうと思ったわけではなく、このままでは時代の流れがなんとなく戦争のほうへ行っちゃうんじゃないかという感じがして、実際に戦争の時代を生きた人間がどう考えていたのかを書いておこうと思ったんですね。戦争を知っている世代がだんだんと少なくなっていますから。

例えば、ぼくは今、模型飛行機を集めているんですけど、若い人にB29の模型を見せてもB29がどういう飛行機か知らないんです。ぼくは陸軍幼年学校時代にB29の空襲を受けましたけど、今の人に空襲の話をしてもピンとこない。まあ、しようがないことではありますけれど、そうした記憶そのものがなくなってしまうのは、やはり困りますね。

少なくとも、ぼくの実感では、戦争が終わってすぐの頃は、もう二度と戦争はイヤだという雰囲気が非常に強くあって、それがかなり長いあいだ続いていた。それがいつの間にか、戦争はイヤだけど、万が一の時には戦争も仕方ない…といったような雰囲気になってきて、おまけに戦争をした日本は正しかったなんていう意見も出始めてきた。

とにかく、そっちの方向へ行ってはまずいので、ただ戦争はいけないといっているだけではなく、なぜ戦争がいけないのかをきちんと書いておこうと思ったわけです。


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