9月から全国ツアーを開始するクレイジーケンバンドのリーダー・横山剣

イイネ! イイネ! イイ~~ネッ!―。

「東洋一のサウンドマシーン」ことクレイジーケンバンド(以下、CKB)が今年で結成20周年を迎えた。6月には主演映画『イイネ!イイネ!イイネ!』が公開され、話題に。今月には豪華なベスト盤を発売し、9月からは横浜を皮切りに全国ツアーを開始するという暴れっぷり! 

そんなますます勢いに乗るCKBの魅力に迫るべく、リーダー・横山剣にインタビュー! アルバムやライブについてはもちろん、バンド内のコミュニケーションや、これからの展望についても語ってくれた!

■幼い頃から脳内でメロディが鳴っていた

―CKB結成20周年おめでとうございます!

横山 いやぁ、どうもどうも、ありがとうございます。

―8月2日にはベストアルバム『愛の世界』がリリースされましたが、通常盤だけでも60曲が収録されています。選曲は大変じゃなかったですか?

横山 いやぁ、もう落とさなきゃいけない曲もいっぱいあったんでね、大変でしたねぇ。全部で400曲近い楽曲のなかから150曲くらいまでは絞れたんですけど、そこからさらに絞って……日によって気分も変わっちゃったりしてね(笑)。あとはファンクラブの票も入れようとしたんですが、もう……票割れするだけで(泣)。結局キリがないのでひとりで全部キメちゃいました(笑)。

―そうだったんですね(笑)。CKBの変遷が偏りなく収められている印象を受けました。

横山 もちろん、曲は初期から最新のものまで入れるようにしたんですが、発売する今年の〝モード感〟を重視することを心がけましたね。あとは“埋もれ曲”を思い切って再プロモーションしようという思いも込めました。

―その曲の多くが、突如としてひらめく脳内作曲をきっかけに生まれたそうですが、それができるようになったのはいつからですか?

横山 幼い頃から脳内で鳴ってはいたんですけどね、当時はメロディだけ出てくるとか、おぼろげでしたねぇ。それが小学校高学年になるとかなり具体的になってきて……。今回、新バージョンを収録した『男の滑走路』は、その頃に鳴ったメロディがもとになっています。あと、よくクルマを運転しているときにメロディと歌詞が同時に浮かんできますね。アメ車やらクラシックカーやら……乗るクルマによってもスゴく影響されるんですよ。

子供目線から見た“カッコいい大人”像

―クルマも相当お好きですよね。これまでも『GT』や『ベレット1600GT』など、CKBの楽曲には数々のクルマが登場してきました。

横山 そう! もう大好きでねぇ(笑)。クルマ! クルマ! クルマ!ってね、もう轟(とどろき)ィーッ!て書きたいくらいですけどネ! はい。え~、幼い頃から「GT」とか「レース」といった言葉にはグッときていましたね。あと、それこそ当時の週プレにも載っていましたが、子供目線から見た“カッコいい大人”像というのがあって、60年代当時はレーサーを兼業する芸能人や芸術家の色男がたくさんいたんですよ。作曲家の三保敬太郎さんや、福澤諭吉のひ孫でモデルで服飾デザイナーの福澤幸雄(さちお)さんも名うてのレーサーでした。そんなマルチな男性像にウン十年も憧れてきたんですね。クルマは作曲のインスピレーションにもなりますし、この年になっても情熱はとどまるどころかどんどん暴発しちゃってますよ!(笑)

―いい時代だったんですね。音楽家に限らず、“生きざま”がカッコいいと思える男性が剣さんの生き方に影響を与えてきたと?

横山 そうですね。プレイヤーではジェームス・ブラウンや永ちゃん(矢沢永吉)、山下達郎さんの影響を強く受けています。あ! あと勝新太郎さんっ! 音楽関係ないけど!(笑) はみ出しまくりの人生でしたが、その言葉のひとつひとつには説得力がやたら宿っているという……。ま、アウトローな部分もありますが、それすらも超越した存在であると。こりゃもうカッコいいと言うしかない。いまだに根強いリスペクトの念を抱かれていますし、相当なことですよね。

横山剣が語るクレイジーケンバンドの挑戦 「エッ!? まだ20年? みたいな感じなんですよ(笑)」

横山剣(よこやま・けん)1960年生まれ、神奈川県出身。クールスRCなどのグループを経て、97年にクレイジーケンバンドを結成。リーダーとして数々の楽曲を生み出すほか、多くのアーティストにも楽曲を提供。9月2日(土)、横浜・赤レンガにて結成20周年アニバーサリーライブの後、全国ツアーが開催される。

(撮影/五十嵐和博)