草刈家のエピソードとともに笑いが絶えない素顔を見せてくれた草刈麻有さんあの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を！とスタートした『語っていいとも！』。
第４５回のゲストで俳優の加藤諒さんからご紹介いただいたのは女優の草刈麻有（まゆう）さん。
父親が二枚目俳優で最近はコミカルな役から『真田丸』での重厚な演技まで幅広く活躍する草刈正雄さん、姉がダンサーでバラエティ番組でのトークも注目される紅蘭（くらん）さんという芸能一家で、自らも１０代から女優デビュー。
この日は、専属モデルだった『セブンティーン』の頃以来という神保町・集英社での取材。その美少女っぷりからミステリアスでクールな印象もあるが、草刈家のエピソードとともに笑いが絶えない素顔を見せてくれたーー。（聞き手／週プレＮＥＷＳ編集長・貝山弘一）
―『セブンティーン』のモデル時代は結構この辺も来てました？
草刈 通ってました、向かいのビル。学校帰りとかも。神保町来るの懐かしかったです。
―では、青春の１ページみたいな。
草刈 はい、まさに（笑）。
―今回、加藤さんからのお友達紹介ということで。ちょっと驚きました？
草刈 驚きました。でもたまに連絡取ってるんですよ。
―実は珍しくこちらがちょっと誘導したのもあって。麻有ちゃんはどうですかって？
草刈 そうなんですか？ えーっ、ありがとうございます！
―本当にドラマの『主に泣いてます』が大好きだったので。原作の漫画もずっと好きで読んでたんですけど、あの世界観をここまで見事に映像化してくれるとは！って。みんな登場人物のキャラもハマっててね。
草刈 本当ですかー。何年も前の作品なのに、嬉しいです。プロデューサーの方がやっぱりすごく原作に思い入れがあったみたいなんですよね。
―そうなんでしょうね。まんまと僕はＤＶＤボックスも買っちゃいました（笑）。正直、諒くんをちゃんと認識したのもこの小桃役で。もちろん麻有さんのことも知ってはいたんだけど、このつね役で「おー、これはいい！」みたいな（笑）。
草刈 本当ですか？ 嬉しい（笑）。よく気付かれないんですけどね、あの役。なんか…おかっぱとかだったし。事務所を新しく今年の３月から変わったんですけど、そのチーフマネージャーさんも『主に泣いてます』観てたけど、麻有ちゃんってわかんなかったって（笑）。
―ほんとですか！ それは意外だけど…それだけ同一化して紛れていたと（笑）。
草刈 キャラが濃かったからですかね？（笑） でも、途中から台本見なくても台詞が頭から浮かんでくるっていう。なんですかね…途中からつねになってたっていうか…そういう感じだったんで、台詞覚えに苦労はしなかったです（笑）。
―そこまでハマってシンクロできたってスゴいですよね。髪型とか制服もあそこまでキャラ立ちしてると、逆に照れもあって不思議じゃない気もするけど。恥ずかしさとかはなかった？
草刈 んー。なかったですね。そのプロデューサーの方も「こういうイメージで私の中ではこうだから！」みたいなのがすごいあったので、私も掴（つか）みやすかったですし。こういう時、こう思うだろうなってわかってきて、それっぽくお芝居してたら「いいじゃん、よかったよ」ってことがあって…。
「プライベートでもこんな感じでした」]
―ちなみに、最初にオファーがきたのか、あるいはオーディションで？
草刈 いや、それがもう本当に私が中学校の時にデビューした頃、父親の映画（『００９３ 女王陛下の草刈正雄』２００７年）でちょろっと本当の娘役で出たんですね。で、そのシーンがすごい怒ってるシーンだったんですよ。父親に対して反抗してるみたいな。
プロデューサーさんがたまたまその昔の映画を観て「あのコ、いいじゃん」みたいな。むすってしてる感じが「つねにぴったりだった」って言われて。最初は他のコで決まってたみたいなんですけど、でも本当にありがたいことにいきなりオファーしていただいて。
―それもすごい巡り合わせですね。その表情で「つねは彼女しかいない！」って。
草刈 もう、ほぼほぼ他のコで決まってたみたいなのを「いや、私はあのコだと思う」みたいなことを言ってくれたみたいで。運命の出会いでした（笑）。
―ちなみに、自分では原作の漫画は読んでたの？
草刈 読んでなかったですけど、作品決まった時にはもちろん。
―そこで、なんでこのつねが自分なの？みたいな戸惑いもなく…。
草刈 うん。幼い頃の私とちょっと近い部分があったのかなとは…。
―おっ、そこはすごく興味深いところですね。もうちょっと後にしときましょうか（笑）。ところで、諒くん情報によると、よく登場した橋のシーンで、その場所に行くと異常に麻有ちゃんのテンションが上がって、変な人になってたんですよって。
草刈 なんですか、それ（笑）。えーっ、全然覚えてないけど。そういうシーンは確かによくありましたね。
―そこで、つねが降臨してたとかではない？
草刈 どうなんですかね？ でも、まぁプライベートでもこんな感じでしたもん。普段から結構そういうとこあるんですよね、私。
―基本的につかみどころがないとか…周り関係なく、奔放に突っ走っちゃうとか？ それこそ諒くんが『主に泣いてます』チームでご飯食べようってやりとりしても、麻有ちゃんも来るって言う時によく家族の食事会が入ったりするんですよって（笑）。
草刈 あははっ（笑）。そうなんですよね。なんか、タイミング合わなくて。菜々緒ちゃんとかみんなのほうがお忙しいのに。
―諒くんからのメッセージで「このままだと“会う会う詐欺”になっちゃうからって（笑）。
草刈 あはは。この間、ドラマで『主に泣いてます』の時の助監督の方とご一緒して。すごくチームで仲良しだったので、ワーってテンション上がって、写メ撮って諒くんに送りました。「今、一緒だよー！」とか。それで「絶対、次あったら来てね！」「絶対行きます！」みたいな（笑）。
―是非実現させてください。そうじゃないと、ずっと詐欺師の女としてね（笑）。
草刈 言ってるだけっていう（笑）。呼んでも来ないみたいな感じに思われて、呼ばれなくなっちゃって。だから、次あったら絶対実現させます（笑）。
「一緒にテニス行く時も私が運転して…」
―でも、基本的に奔放で気ままに思われてもよしというか。根本的につねキャラが魅力でしょうし（笑）。草刈家はやっぱり家族が最優先とかね。
草刈 いやいやいやいや…。でもまぁそうですね、家族の食事とか、結構最近お父さんも忙しくて、あんまり集まれないので。なんか今、すっごい『真田丸』で再ブレイクして（笑）。外食もあんまりできてないので、やっぱり重要ですね。すいません。
―絆が強そうですからね、草刈家は。やっぱりお父さんが大好き？
草刈 うーん、そうですね、まぁ大好き…人並みに（笑）。
―絶対、端から見たら人並みじゃなさそうですよ（笑）。
草刈 仲はいいほうだと思います。スポーツも一緒にやりますし、最近、車の免許も取ったので、一緒にテニス行く時も私が運転していきます。ふふ（笑）。
―お父さんとテニスなんて世の家庭の理想ですよ～。じゃあ結構、アクティブなんですね。これも諒くん情報ですが、麻有ちゃんが仲のいい女優さんとふたりで韓国旅行に行った時、ふらっと彼女が消えちゃうって、その女優さんが言ってたそうです。やっぱり気分屋さんだよねって（笑）。
草刈 本当ですか？ えーっ、全然意識ないんですけど（笑）。まぁ、変わってるとは言われますけど。そうなんですかね。
―それもアクティブなうち？ でも変わってる人は自分で意識しないですからね。
草刈 確かに。だから、普通にしていようって思うんですけどね。この間もバラエティのお話いただいて、私、そういうので喋るのが得意なほうじゃないので、とにかく当たり障りないように喋んないでおこうと（笑）。言われたことに答える！ってしかしてなかったんです。下手なこと言うと、変な人だと思われるかなと思って。
―それで「別に～」みたいなツンツンしたキャラに見られたりして？
草刈 反省会でした。マネージャーさんからも喋らなすぎとか言われて（笑）。
―それはそれでキャラが定着するかも。万人向けの愛想よく振る舞う人はいくらでもいるし当たり前ですから。
草刈 そうなんですかね（笑）。喋らない人ですか、ふふ。
―ひと筋縄じゃいかない女優としてね。実際、周りからも天然っぽいというか不思議キャラに見られたり？
草刈 割と変だよねとは言われます。自分では…うーーん。
―そんな眉間にシワを寄せないでも…（笑）。何が変わってるのかピンとこないようですが、それもまた草刈家の遺伝子のような気も。お父さんに対するイメージもつかみどころがないというか（笑）。
草刈 本当ですか？ そうなんですかね。…まぁないですかね、つかみどころ…ほんとテンションのアップダウンも激しいですし。
「そんな反対されたっけ？みたいな」
―アップダウン激しいんだ（笑）。なんか、飄々（ひょうひょう）としつつ、とぼけた感じがあって…。
草刈 くだらないことが大好きなんですよ。すごい父と協調してる部分があって、本当にくだらない、笑いとかもめちゃくちゃツボが浅いんですよね。なんか、犬を飼うことになって「名前、何にする？」みたいな時に「昨日来たから“昨日”って名前はどうだろう？」とか。そうじゃないでしょう！…そういうくだらない名前付けるやついないだろう！みたいなことで、でもめちゃくちゃ笑っちゃうっていう。
―あははは、やっぱり表裏ないというか、家でも普通にそういう会話なんですね。なんか、味があって微笑ましいですねぇ。
草刈 そういう本当にくだらない会話で盛り上がってます。なんか変なだじゃれとか。まぁ賑（にぎ）やかで、それはそれで楽しいです。
―そのお父さんに昔から撮影現場とかも連れて行かれて、そこから自分も女優さんに興味を持ったということですよね。
草刈 そうですね。やっぱり小さい時から遊びにいかせてもらっていたので、なんか自然と私もやりたいなぁって感じで。それが日常というか、その現場にいることが当たり前だったので、私もこの仕事やりたいなぁとふとしたタイミングで思いました。
―学校の学芸会で演じたり、実際に舞台とかをやったことでゾクっと快感を覚えたり、拍手される恍惚（こうこつ）を経験してとか具体的なものがあったわけではなく？
草刈 やっぱり現場を重ねていくことによって、自分が役作りするのもそうですけど楽しいなって思って。周りの場所とか衣装でそれっぽくなったりとか。まだなりきれてるのかわかんないですけど、自然とこういう感じなのかな？とかも生まれてきて。そういうのが面白いなって。
―当然、子供の頃から二枚目俳優のお父さんが一緒でそういう環境にあっただろうし。関係者からも美少女として注目されて誘いもあったのでは…。
草刈 いや、そんなこともなかったです。中学校１年生の時に私の仲のいい女のコがモデルを始めて、いろんな雑誌に出てカワイい服とか着せてもらってて、いいなーって。すごい親友だったんで、私もこういうのやりたいなって思って母親に言ったんですよ。最初はそれがきっかけで。
その父が主演した映画も「今度撮るのがコメディーなんだけど、実の娘としてプロデューサーが出てみないかみたいなこと言ってるんだけど、どう？」とか言われて。でもそこから本格的に女優目指すとは父も思ってなかったんですよ。私がそれからお芝居に興味持ったら「大変だぞ」みたいなこと言われて。
―自分がその世界での浮き沈みも経験して、飛び込ませたくないという役者さんの親も結構いますよね。生半可な気持ちじゃできないぞと反対されたり…。
草刈 そう…うちも一応、反対したみたいなんですけど。私、記憶にないんですよ。
―（笑）そこも自覚ないというか、天然っぷりが。
草刈 えっ、そんな反対されたっけ？みたいな感じなんですけど。まぁでも厳しい世界だから、挨拶はきちんとして遅刻だけはするなって言われて。それ以外はおまえらしくいていいから、それは絶対守ってくれっていうのはありましたね。
「父はＣＭとかでも泣きます」
―やっぱり心配しつつ、嬉しいのもあるんでしょうけどね。
草刈 どうなんでしょう。恥ずかしいんじゃないんですか？ 仕事の話はほんとしないんで…。でも唯一、褒（ほ）めてくれたのが『主に泣いてます』でした。さらっと観てくれてたようで「いいじゃないか、これは」って。面白いじゃないかーみたいな。
―いい話です。普段、家で一緒にドラマを観たりとかは？
草刈 いや。個々で観てますね。みんなで一緒にとかはあんまりないです。私がお芝居やってるっていうのもあって「この映画いいらしいよ、観ようよ」とか一緒に映画館行ったりはよくしてますけど。で、ふたりで号泣みたいな（笑）。
―号泣ですか（笑）。ちなみに最近では…。
草刈 『ラ・ラ・ランド』ですかね。親子っていうのもあって感性が似てるんでタイミングが合いますね。ここで泣いてる、あ、やっぱり泣いてるって。観終わってからもここのシーンのこれ！とか。「あれはすごかったよねー！」「だよなー！ わかる！」みたいな。
―隠しカメラで草刈親子が号泣してるのを見たい気がします（笑）。でもいいですね、語り合えるのは。それも世の家族の理想です。ふたりでなんかのＣＭに出てほしい感じ。
草刈 すっごい涙もろいんで、うち。父はＣＭとかでも泣きます。可哀想な子供たちの映像見てぶわーっ…可哀想な犬とか動物でぶわーって、思い出しただけでも涙みたいな（笑）。自分の経験の話する時でも涙ぐみながら喋ってる。本当に涙もろいんです。
―そういう意味で喜怒哀楽とか感情のアップダウンが激しいんだ。で、自分もそれを受け継いでる？
草刈 そうですね。
―クールそうに見えてそうなんですね。ダンサーとして最近バラエティ番組にも出てるお姉さんの紅蘭（くらん）さんはそういうタイプに感じますけどね。
草刈 あー、どうなんですかね？ お姉ちゃんはちょっと違うタイプかな。
―派手なメイクでセクシーなダンスを披露したり、ちょっとぶっ飛んでるところもあれば、やっぱり奔放に我が道を行ってるような。
草刈 まぁ、そうですね。本当に我が道を行くタイプなので、誰に何言われようと自分がやりたいことをやるっていう。私は末っ子なので、これをやったら怒られるんだ、やめておこうとか…反面教師になってるみたいな（笑）。
―ははは。でも長女のほうが親の顔色を見て言うことを聞くところもあるでしょう。親も上には厳しく一番末っ子は溺愛するとか。
草刈 それはそうでした。姉はずっと怒られてたんですけど、私は怒られたことないです。いろんな人に聞いても、一番下はあんまり怒られないって。もう諦められてるのか、そうやって上を見て悪いことしてないのかわかんないですけど。
●続編⇒語っていいとも！ 第４５回ゲスト・草刈麻有「父親（草刈正雄）はザ・亭主関白なんで、同じタイプは絶対好きにならない」
●草刈麻有１９９３年４月２０日生まれ、東京都出身。幼い頃から父である草刈正雄にドラマの収録現場などに連れられ、女優を志す。０７年に『００９３ 女王陛下の草刈正雄』で映画デビュー、その後、『蘇りの血』では映画初主演を果たす。映画『モンスターズクラブ』やドラマ『３年Ｂ組金八先生 第８シリーズ』『主に泣いてます』『ぴんとこな』など話題作に出演。現在は舞台やバラエティ番組でも活躍の場を広げる。
（撮影／塔下智士）