カジノを愛するギャンブラーたちからは大ブーイングが起き騒然としている

10年以上すったもんだを繰り返した末にようやく決まった日本でのカジノ解禁。2020年以降の開業を目指して法律の整備が急ピッチで進められているが、そんななか、政府がとりまとめたカジノ法案の「素案」が先頃発表された。

これは日本版カジノの設計図ともいえるもの。8月中旬から、全国各地で素案についての公聴会が政府主催で開かれ、定員をオーバーするほどの希望者が殺到。同時中継されたニコニコ動画では1時間あまりで1400件以上のコメントが寄せられるなど、高い注目を集めている。

ところが、参加した人からは、反対派のみならず賛成派からも疑問の声が上がっている。なかでも、長い間解禁を待ち望んできた日本人カジノファンからは「なんだこりゃ!?」「ありえねえ!」と大ブーイングが起きている。

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今回の素案の一体、どこがヘンなのか? 『本物のカジノへ行こう!』(文春新書)など、ギャンブルに関連した著作が多数ある作家の松井政就(まさなり)氏はこう語る。

「ひと言で言えば、キャッチボールもしたことのない人がプロ野球の監督をしているようなものです。カジノ経験のないお役人や学者さんたちが作ったので、全体的に規制や禁止事項のオンパレードになっています。これでは楽しもうという気持ちがうせてしまいますね」(松井氏)

では、具体的にどんな点が問題なのか?

【問題点(1) 入場料】

「外国からの利用者は入場無料ですが、日本人と日本在住外国人は入場料を取られます。今回の素案には具体的金額はありませんが、これまでの議論では約1万円という意見が出ています。でも、そんな入場料を取られたら庶民にはキツイですし、日本に住む人だけが取られるというのも不公平です。ギャンブルに負けて損するなら納得できますが、入場するだけで取られるとなると話は別です」(松井氏)

ちなみに海外ではどうか?

「有料の国もありますが、ホームレスがむやみに入るのを防ぐなどの目的で、せいぜい数百円取るだけです。唯一シンガポールは、ギャンブル依存症対策という名目で自国民から約8000円取っていますが、その分をギャンブルで取り返そうとしてハマる人が続出してしまい、依存症対策として逆効果だとして廃止を求める声が上がっています」

【問題点(2) マイナンバー提示が義務づけられる】

「日本人と日本在住外国人は利用時にマイナンバーの提示が義務づけられます。しかも勝ったチップの換金時にも提示が義務づけられるもようです。これはギャンブラーにとって頭の痛い話です。なぜならカジノでの払戻額を政府に管理される恐れがあるからです」(松井氏)

払戻額を政府に知られるとどんな点がマズイのか?

「現在の日本の法律では、投資事業としてギャンブルをしている人を除き、勝ち負けを年間で合算できません。ですからトータルでは負けているのに、勝った分にだけ課税されるという理不尽なことが起きる可能性があるからです」

競馬でも、儲けに課税するなら負け分を経費として認めるべきとして裁判にまで発展した例があるが、カジノでも同じ問題が起きるかもしれないのだ。

◆『週刊プレイボーイ』37号(8月28日発売)「ここがヘンだよ!つまんないぞ! 政府カジノ法案」では他にも問題点を指摘。是非そちらもお読みください。

(写真/Imaginechina/アフロ)