若狭新党との連携にも積極的な前原氏だが、自身も民進党も新鮮味なし。むしろ埋没を危惧する声も

前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなる民進党代表選(9月1日投開票)。勝敗は国会議員(284ポイント)、国政選挙立候補予定者・地方議員(336ポイント)、党員・サポーター(231ポイント)の合計得票で決まるが、現状では「国会議員80人以上の支持を固めた前原氏が一歩リードした形」(民進党国会議員秘書)だという。

この夏はせっかく安倍政権に逆風が吹いているというのに、民進党の政党支持率は低迷続きで、さらに細野豪志(ごうし)元環境相ら所属議員の離党も相次いだ。そんななか、今回の代表選が反攻のきっかけとなるだろうか?

元フジテレビ報道局解説委員で、ウェブメディア『Japan In-depth』編集長の安倍宏行氏が言う。

「枝野さんは共産党との共闘路線継続を明言していますが、党内の保守派議員はそれこそが浮動票層から敬遠された大きな要因だと考えている。枝野さんが勝った場合、その路線を許容できない人たちが雪崩(なだれ)を打って離党し、“若狭新党”に合流する可能性が高いでしょう」

一方、前原氏の狙いは、現在のような「保守・自民対リベラル・民進」ではなく、民進党を中道政党と位置づけて「保守対保守」の構図をつくること。だが、前出の民進議員秘書はこう警告する。

「残念ながら、前原さんでは“昔の顔”感が強すぎて新鮮味に乏しい。小池百合子都知事が実質的に率いる若狭新党との連携も目論(もくろ)んでいるようですが、正直言って勢いが違いすぎます。“非自民保守の顔”のポジションは小池さんに持っていかれ、前原さんの存在はかすんでしまうでしょう。

そうなれば、比例票が欲しい保守系議員が前原体制に見切りをつけ、若狭新党に合流するため大量離党することは目に見えている。民進は分裂どころか消滅の危機を迎えることになります」

また、ある自民党関係者もこうほくそ笑む。

「前原さんは消費増税を主張しているでしょ? 政治センスないよねえ(笑)。安倍首相は次の衆院選の公約に2019年秋の消費増税凍結を打ち出すはず。“増税保守”の前原民進に対し、政権与党のこちらは“増税凍結保守”。自民の大勝は間違いないよ」

結局、民進党に明るい未来はない…ってこと?

(写真/時事通信社)