自分探しみたいな時期もあったが「やっぱり続けたいなって強く思って」本格的に女優の仕事も復帰した草刈麻有さん

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

前回、俳優の加藤諒さんからご紹介いただいた第45回のゲストは草刈麻有(まゆう)さん。

父親が俳優の草刈正雄さん、姉がダンサーで最近はバラエティ番組でのトークも注目される紅蘭(くらん)さんという芸能一家で、自らも10代から女優デビュー、『セブンティーン』の専属モデルとしても活躍。

その美少女っぷりからミステリアスでクールな印象もあるが、草刈ファミリーの号泣エピソードを交えつつ、笑いが絶えない普段の素顔を前回は垣間見せてくれたがーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―最初の子には親も神経質になりますしね。だんだん、放っといても育つからみたいな。でも、自分自身、そうやって周りを見て観察力みたいなのが子供の頃からあった?

草刈 いろいろ見てました。これやったら怒られる、やめとこうとか。

―ある意味、抜け目ないというか…それでこっそり裏で悪いことしてたり?

草刈 悪いことはしてない(笑)。裏で遊んでるとかも別にない…特にはですけど。あ…でも、怒られたことがない理由がきっと「おまえがそうだからコイツはこうなったんだ」みたいな怒られ方を姉がするんですよ。なんかやると「だから麻有もこうなんだ」みたいな。

―それはお姉ちゃんのツラいとこですね。逆に妹としては「私がおとなしくしてれば…」って、周りを様子見するようになって。そこで姉妹のキャラの相違もね。

草刈 まぁ違いますね。見た目も好きな物とかもそうですし。でも、それで姉は打たれ強いんですよ。バラエティとかで「おまえはなんちゃら!」とかイジられても「ヘイ!」みたいな感じで反応できるじゃないですか? 私は打たれ弱いタイプなんで、ふざけて言われることでも「ごめんなさい」とかなっちゃう。だからあんまり得意じゃないんですよね。

―確かにそれも環境はあるでしょうが、紅蘭さんはより外国人気質のような。どんどん自分を出してなんぼみたいなところで日本人離れしてる印象ですよね。

草刈 もう、地が強いんですよね。なんでもかかってこい! 怖いものないぞ!みたいなタイプなので。スゴい仲いいんですけど、タイプはかなり私と違うと思います。

―それがまたちょうどいいのかな。ぶつからないで上手くかみ合って。

草刈 そうかもしれないです。でも兄弟とか姉妹で似てる人ってあんまりいなくないですか? 結構、全然タイプ違うじゃないですか。普通の人はどうなんだろう。

上は親と戦って生きてきて、私はちょっとずる賢いのかもしれない。カワイい娘でいようじゃないけど…「テニス行く?」「ご飯食べに行く?」って言われて、こっちが気を遣うっていうか。

―また一番上は上で神経質に育てられて、その反動や反発もあるし。お父さんからしたら扱いづらいのに比べて、下のコが愛嬌あると嬉しいだろうしね。

草刈 喧嘩とかしたら、お姉ちゃんは言い方とかがちょっと…すっごい言い合いみたいな感じになっちゃうんですよ。私は言われても返さないけど。あぁ、そんなこと言わなくてよかったのに~みたいなことが多いです。

クールなスカした感じがよかった?

―そこで自分は喧嘩や諍(いさか)いを避けて、賢く立ち回るタイプ(笑)。客観視して先読みするのも、つね役(『主に泣いてます』)に通じるような…。

草刈 そうです(笑)。だから、特に小さい頃とかは結構似たところはありましたね。きっと自分の中にそういう部分もあったからこそ、あの役がもらえたし、お芝居ができたし。

―ツンデレなところも? それこそ普通にしてたら典型的な美少女として、黙ってるだけでツンとして近寄り難そうに見られるとか。

草刈 まぁ、そうですかね。結構ツンツンしてたかもしれないです、中2ぐらいまでは。私、『金八先生』の一番最後のシリーズやらせてもらってたんですけど、その時も芸能界入り立てで、オーディションなんか周りはすごい「笑顔です!」「私の取り柄はなんちゃらで~」みたいな女のコたちが多くて。もうそれにびっくりしちゃって。

自分はそういうのに慣れてなかったんで、その中に入って「あ…どうもよろしくお願いしまーす…」みたいな感じでやってて。うわー!とか思いながら、もうサーって青ざめちゃってるんですけど。びっくりーって感じで、もう目をまん丸にしてたら、合格みたいな。

―逆にそれが他のコと違って印象に残ったと。実は血の気引いてたのもクールに見えて?

草刈 だから「えっ、なんで私が?」とかマネージャーさんに聞いたら「そのクールなスカした感じがよかったんじゃない?」みたいなことを言われて(笑)。役でも本当にそういう大人にも敬語を喋んない、周りと戯(たわむ)れないみたいなコでしたけど(笑)。

―やっぱりそう見られちゃう…根本的に持ってるものがあるのかな。

草刈 たぶん、似たところはあったんだと。ていうか、今でもあるかもしれないけど。

―うーん、二面性的な。こうやってお話してみると、つっけんどんな感じもないし。素な感じで喋ってくれて、縁側でお茶飲みながら雑談してる風もありじゃんと。

草刈 ウェルカムです(笑)。

―だからツンデレもありつつ、やっぱり気構えなくてもいいところではお父さんと一緒でバカなこと言ったり…。時々、くしゃって変顔もしてるし(笑)。

草刈 (笑)まぁそうですね。なんか、意外とすっごい人見知りなんで。

―そんな意外とでもない気はしますけど(笑)。

草刈 結構、意外って言われるんですけど、そんなことないですか? でも、ほんと面白いことが好きなんで。ふざけたりとかも心許した人にはしたりしますね。

父のことはだいぶ好きですけど…

―だから、ドラマでも雰囲気よくて仲良くなった現場では諒くんみたいに気を許せて。違うテンションの自分も晒(さら)せたり?

草刈 晒すっていうか(笑)。もう諒くんとは何ヵ月も一緒にいたし、すごい仲いい設定で、いっつもふたり一緒にいるみたいな感じだったので。

―しかも、つねのキャラが乗り移ってる感じで出てたわけだから。そのイメージは強いはずだよね。

草刈 ふふふふ(笑)。そうなんですかね。

―でも、それでコメディー的なものもできて。その一方ではNHKのBSでやってた単発の『銀河鉄道の夜』みたいに不思議な美少女の役もあり…あれもすごくいいなと。

草刈 あ、観ていただいたんですか?

―宮沢賢治原作のファンタジーを幻想的にアレンジしたドラマでね。それこそイメージ通りの現実離れしたクールビューティーっぷりにドキドキしつつ…。

草刈 そうなんですね(笑)。普段はこんな感じですけど(苦笑)。

―そういうギャップや振れ幅のある内面も魅力的だなと。でも、実際に人見知りなところで、彼氏とかどういうタイプだと付き合えるんでしょう。やっぱりお父さんに似てたり?

草刈 そんなことはないですね。全く違う人が好きです。父親はもう本当に九州生まれでザ・亭主関白みたいな人なんで。私は結構ジェントルメンな人が好きっていうか、アメリカンナイズされたじゃないけどレディーファーストできる人とか。父親はあんまりそういうのないんで…父親は父親ですけど、同じタイプは絶対好きにならないと思います。

―そこまで九州男児というか昔気質なんだ。

草刈 なんかすごいんですよ。うちの母親が買い物行ってる時とかでも「買い物…遅いぞ」みたいな。もう30分でも遅くなると「どこにいるんだ…どこにいるんだ…」ってすっごい心配して。母親が友達とご飯食べに行くって言っても「誰と行くんだ…」「夜ご飯の時間が遅くなっちゃうぞ」みたいな感じで。

―(笑)やっぱりお母さんなしにはいられないデレの話というか。微笑ましいですが。確かにそれもちょっとしんどいのかなぁ。でも、そういう甘えもカワイいのでは? 

草刈 いやまぁそうですけど、母親の自由がなさすぎるというか。父親と付きっきりで一緒にいるんで。飲むのもふたりだし、友達もいなくなるレベルなんですよ。

―でもなんだかんだ言って、母性本能をくすぐられたりしてね。「あ、似てる人を選んじゃった」みたいなことになるのではと。

草刈 いやー、それはないです、絶対! もっと優しくて、なんか自由にしてくれる人がいいです(笑)。

―でも、家族優先で何より大事にしてたり、テニスや映画観るのでもお父さんの相手をよくしてあげてるわけで。ファザコンではない?

草刈 ではないですね。甘えてる部分はたくさんありますし、父のことはまぁだいぶ好きですけど…うーん、なんか客観的に見て、こういう人は大変だなーみたいな(笑)。

アメリカ行って自分探しみたいな…

―最初は全然違うタイプだと思ったのが、ちょっと知ってみると「やべっ、やっぱりお父さんと一緒な感じの人間だった」とかもない?

草刈 ないですね。全くないです。

―そこまですごい否定しなくても(笑)。

草刈 ははは(笑)。まぁ父親として好きですけど、同じタイプを好きになることは基本的にないですね。

―じゃあ自分は付き合っちゃうとしたらどうなるんでしょう。ツンデレ要素はあり?

草刈 あー…うん、まぁ差は激しいかもしれないです、気分で。それってツンデレなのかな。そうなっちゃいますかね(笑)。

―自分から積極的にいけるタイプ?

草刈 そうですね。いったりいかなかったりみたいな。バランスを保って…(笑)。

―相手によって押したり引いたり、駆け引きもできるみたいな(笑)。

草刈 そんな感じですね、はい。様子見ながらみたいな(笑)。

―なんか、またちょっと変顔っぽいカワイい表情でごまかされたような(笑)。でも、それこそ結婚しますとかお嫁に行きます的なシチュエーションになったら、めちゃめちゃ動揺するんでしょうね、お父さんは。号泣しちゃうとか。

草刈 どうなんですかね? いやそんなことはないと。私に関しては心配してないと思う。姉に関してはどんな人と付き合うとか、かなり心配はしてると思いますけど。

―奔放すぎてすごい相手を連れて来るんじゃないかとか? それに対して自分は驚かせるようなことはしないだろうなって自信がある?

草刈 まぁそうですね。私、安定を求めるんで。何事も。ふふふ(笑)。

―そこは優等生的な(笑)。まぁでもまだ24歳ですもんね。これからはわからないと。何か年女として今年に期するものとか心境の変化はありました?

草刈 そうですね…やっぱりプロダクションが変わったっていうのは大きかったです。しばらくお仕事お休みして、それこそ旅行行ったり、いろいろしてたんで。

―そのお休みしてた期間を経て、またモチベーションが上がってきたのかな。

草刈 はい。上がったタイミングで今の事務所に入ったんですけど。やっぱり若いうちから始めてたっていうのもあって、自分にはもうちょっとできることがあるんじゃないかとか、アメリカ行って自分探しみたいな感じでやってた時期もあったんですけど。やっぱりこの仕事続けたいなって強く思って。

―それも必要な経験だったんだろうし。心機一転、自分でも楽しみでもあるわけだね。 

草刈 そうですね。頑張ります(笑)。

次回ゲストはグラビアで大反響の…

―こちらも一ファンとして楽しみに。女優魂的なものに何か変化があるのかな、とかね。

草刈 女優魂的なこと…うーん、難しい質問ですね(笑)。…でも、しんどいですけど、やっぱり役になるとか、なりきってなかったらばれるじゃないですか、結局。ちゃんと自分がその役にならないとどっかで絶対ばれてるし。そのためには役作りをちゃんとしとかないとって。

本当にしんどい役とか、過去が大変だったりして感情も振り回されるとか…私はまだそこまで巡りあったことないと思いますけど。でも、やっぱりつねの時みたいに「あ、つねになれてるな」って思った瞬間とかって、やっぱりすっごい快感じゃないですけど…。

―その感覚を味わってしまうと、っていう。

草刈 そう。なんか、台本読まなくても台詞が入ってくるみたいな。つねがこう言うだろうなと思ったら、やっぱりとか。読み込まなくても入ってくる感覚とかもすごい楽しくなっちゃう。そういうのって、なんか自分に向いてるのかなとも思いますし、わくわくして、はい次!ってなることとかも楽しく思えるので。

―なかなかそういう役柄に出会えるのって得難いだろうし。それを知っちゃうとね…。でも、逆にまた大変かも。その満足感が常に得られるとは限らないでしょうから。

草刈 確かにそうですね。

―それこそ、お父さんだって若い頃の正統派二枚目俳優でやってた頃と、コメディー的なキャラクターを演じるようになって、また違うものが引き出される面白さがあって。それも楽しみでしょうけど。

草刈 はい、頑張ります。ははは(笑)。

―まぁ、意外と自分のことが自分で一番よくわからないから、いきなり結婚して辞めますみたいなことも? その時の気分でやっぱり奔放に…。

草刈 うーん…そんな身勝手なことはしないと思うんですけど(笑)、まぁでも、そういう要素もあるかもしれないですね(笑)。

―ははは、結局、掴みどころないみたいな(笑)。そこ含めて今後のお楽しみですね。…では、そろそろ次のお友達をご紹介してもらえればと。

草刈 あ…正直、そんなに芸能界繋がりの友達は少ないんですけど。さっき、週プレさんの編集部のフロアに入ったところにあったポスターで、もえちゃんが…。

―もえちゃん…?

草刈 『横浜グラフィティ』っていうキャシー中島さんの実話を元にした舞台で去年ずっと一緒だったんですけど。キャシーさんの役を私がやらせてもらって、もえちゃんがすごい仲よかったコの役で。

―片山萌美ちゃん! もえちゃんって言われてぴんとこなかったけど(笑)。週プレのグラビアでも大反響で。もちろん本人もよく知ってます。

草刈 で、実際すごく仲よくなって。何回かご飯行ったりとか、うちにも遊びに来ました。

―草刈家に遊びにまで? それはすごい。彼女とは何度かお話ししてますけど、男前なというか(笑)。姉御肌で気っぷのいいコですよね。

草刈 男前ですね、ふふ(笑)。すごいしっかりしてて。

―では片山さんに草刈家訪問の話も聞ければと(笑)。また本格的に女優の仕事にも復帰ということで今後ますます活躍を楽しみにさせてもらいますね。本日はありがとうございました!

語っていいとも! 第46回ゲスト・片山萌美「ガラスの靴落とさなかったら、王子様は探しに来てくれないから…」

●草刈麻有1993年4月20日生まれ、東京都出身。幼い頃から、父である草刈正雄にドラマの収録現場などに連れられ、女優を志す。2007年に『0093 女王陛下の草刈正雄』で映画デビュー、その後『蘇りの血』では映画初主演を果たす。その後映画『モンスターズクラブ』や、テレビドラマ『3年B組金八先生 第8シリーズ』や『主に泣いてます』『ぴんとこな』など話題作に出演。現在は舞台やバラエティ番組への出演も。

(撮影/塔下智士)