この夏、“観測史上最大”や“50年に一度”という記録的な異常気象が日本中で発生した。この秋、それを超える大災害がやって来る?

今年は“異常気象”が続いている。

7月5日から6日にかけて九州北部を襲った集中豪雨は、福岡県朝倉市で「1時間に129・5mm」「3時間で261mm」「24時間で545・5mm」の降水量を記録。これらはすべて“観測史上最大(1位)”となる雨量だった。

この事態に気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨」として、福岡県と大分県に九州地方では初となる「特別警報」を発令。両県の約51万人に避難指示・勧告を出したものの、この集中豪雨によって河川は氾濫、土砂崩れが起こり、36人の死者を出す大災害となってしまった。

九州だけではない。7月14日には、愛知県・岐阜県で大雨が降り、愛知県犬山市と小牧市では1時間に約120mmを観測。このときも河川が氾濫し、住宅地が冠水、JRや名鉄は一時運転を見合わせ、7万人以上に避難指示が出された。

東京もおかしかった。8月に入ってから連続21日間の雨を観測。これは40年ぶりとなる異常気象であり、8月19日には、都内などで局地的大雨が発生し、2時間に約1000発の雷が観測された。

東北・仙台市でも、36日間雨が降り続き、6月から9月までの夏の時期としては観測史上最長を記録した。

メディアで大々的に報道されたもの以外にも、今年は「50年に一度」という“超”異常気象が多かった。

●7月6日、長崎県壱岐(いき)市で50年に一度の大雨。●7月24日、新潟県佐渡市で50年に一度の大雨。●8月5日、鹿児島県奄美地方で50年に一度の大雨。●8月6日、鹿児島県十島村(としまむら)で50年に一度の大雨。●8月16日、福岡県小呂島(おろのしま)で50年に一度の大雨。

では、なぜ、このような異常気象が多い夏になったのか。

気象予報士の久保井朝美さんによると…。

「それは湿った空気が日本列島にたまっていたからです。例年だと、太平洋高気圧が南から張り出して日本列島を覆うのですが、今年はその張り出しが強まったり弱まったり、安定しなかった。

一方で、日本の北東に冷たいオホーツク海高気圧が長くい続けたため、東北や関東地方に冷たく湿った空気が流入した。このふたつの高気圧の影響で、日本に湿った空気が流れ込んできたわけです」

気象庁・気候情報課の担当者も「異常気象の背景として、湿った空気が流れ込みやすい状況だった」と話す。

実は、今年の東京は“89年ぶりの記録的高湿度”だった。8月の(15日までの)平均湿度は85%。風呂場の中にいるのと同じような状況だ。

この高湿度が、記録的豪雨の原因となったのだ。

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(取材・文/村上隆保 写真/時事通信社)